「あ、反応してる。きもちいー?」
「や、んあァッ…あっ、ふざけ、な…!」
「すごいナカひくついてるよ…指締め付けてくる」
「意味わかんな、ひぁ…あ、あぁあっ!」
ゆるゆると動いていた指が、突然ある一点を掠めた。その瞬間電撃が走ったみたいになって、体が跳ね上がった。
驚いて東を見るとにんまりしていて。
「ここ?ここがいい?」
「ンあぁうっ!やっ、なにっ!ひぁ、あぁあッ」
「女の子みたいにヨクなれるとこ。」
なにいってんだこいつ…!
ぎろりと東を一瞥しようとするも、次々に与えられる刺激に腰は揺れ、次第に息が上がってくる。
先ほど体が跳ね上がった部分を東の指が執拗に責め立て、そのたびに恥ずかしい声が上がった。
もういやだ、もういやだ、早く終われ…!
心の底からそう願っていると、東の指が穴から抜けた。
ああ、やっと、
「終わると思ってる?」
まさかそんなわけないよね?と東がにっこり笑う。
何を言ってるんだ、ぼんやりした頭で考えていると、東が自分のズボンを脱ぎはじめてハッとする。
「やだ、うそだろ…?」
「うそじゃないよ。俺ずーっとこうしたかった」
端正な顔が近付いてきて顔をそらせば、ちゅっと首筋にキスを落とされた。
ずっとこうしたかった、なんてふざけた言葉を頭のなかで反芻する。
どうして。どうして。
「な、んで…っ」
「んーなんでって…弥生ちゃんほんとに、ばかなんだね」
東がそう言って困ったように笑った。
でもその目はどこか熱がこもっていて、俺は途端に怖くなる。
逃げる間もなく、濡れた何かが尻に宛がわれた。
「ちょっと痛むかもだけど、静かにしてね」
「い、やだ…ッんぅうっ!?」
そう言われたかと思うと突然キスをされ、いっきに貫かれる。
あまりの痛みに声も出ず、息の仕方さえ忘れそうになる。
熱を帯びた東の吐息がすぐそばで聞こえて、俺は挿入されているんだと気づいた。
「は、きっつ…」
「あぁ、あっ…ッん、はぁっ!」
重量感のあるそれがズルリと引き抜かれ、入り口でゆるく出し入れされる。
先ほどまで喘いでいた一点をそれが掠め、嫌でも体が跳ね上がった。
「や、いや…ッんあぁっ!!」
思った通りそこを突き上げられ、ゆっくりだったピストンが急に激しいものになる。
何度もいいところを擦り上げられ、滅茶苦茶に腰を打ち付けられた。
「あはぁッ!う、あぁ、ッく、ひぃ…んっ」
「気持ちいい?」
東の燗に触る声が耳元で聞こえ、思わず首を横にふる。だけど突き上げられるたびひっきりなしに声は出るし、首筋にキスを落とされるとそれだけで自身が反応してしまう。
こんな、こんなことをするために俺は…
「ひぁァッ!あう、んんゥ…っや、あっあ、はぁッ!くそ、っおまえなんか、きらいだ…っ」
「俺は好きだよ」
「ッ!!」
突然耳元でそんなことを言われて一瞬頭がスパークする。言葉の意味を理解した途端に、腹の奥がぎゅうっと熱くなるのがわかった。
東がびくっと肩を揺らして、
「っ、今すんごい締まった…、…好きって言われんのイイんだ?」
「やだ、やだ、ちがっ!言うな、い、あぁッ」
ニヤリと笑う。
違う、こいつは俺のことが好きなんじゃない、俺のことが嫌いなんだ。
だからこんなことをする。俺の嫌なことばかりする。
好きなんかじゃないのに。
感情的なものか生理的なものか、次から次へと涙が溢れて、東に突かれるたび頬へ滴る。
「…好き、ほんとに大好き」
「や、だぁッ!ん、はぁあッ…ひ、うっ、あっあっ!」
より一層激しくなるピストンに頭がおかしくなりそうだった。
ガツガツと奥を抉られると同時に、自身をしごかれる。
達したばかりのそれは敏感で、触られた瞬間腰が跳ねた。
「いやっ、あ、あぁんっ!東、も、あっ俺っ、いく…いくッ、ひ、あうう…!」
「ん、俺もでそう…でも」
ピタリと扱いていた手が止まる。
突然止んだ刺激に、俺の腰は思わず揺れた。
それを見て東が少し笑う。悔しいけど止まらない。
どうして、という言葉を口にする前に、東が顔を近づけてきて。
「弥生ちゃんも俺のこと、好きっていって?」
「は、ぁッ…や、んンッ」
言わないとこのままとでも言うようにゆっくり腰を動かされ、わざといい所を掠める。
頬に落ちた涙を東が舐めとり、ギリギリまで達しそうだった自身はそれだけでピクピク震えた。
もうなんでもいい、早く出したい、こいつなんか、東なんか…
「ん、はぁあッ!す、き…ッ好き、東、おねが…俺もう…っあぁあ!!」
「っ俺も…大好き」
途端に激しく腰を打ち付けられ、滅茶苦茶にキスをされる。
それだけで腹の奥がうねり、東がまた突き上げる。自身もぐちゃぐちゃに扱かれ、あっという間に達しそうになる。俺は夢中で東にすがりついた。
「んんぅッ!あ、あぁんっ、あっ!あっ!すき…ッすき、あずまぁ…ッ」
「っ!や、ば…!」
最奥を突かれ、中で東のそれがドクドクと痙攣しているのがわかる。
同時に俺の自身からも我慢していた精液がびしゃりと飛び散った。
二人ぶんの荒い息が部室に響いて、それから東が俺にもたれかかる。
なんで俺は部室でこんなことを、こんな大嫌いな奴とこんなことをしているんだろう。
だけどさっき何度も自分から好きだと言ってしまったのは事実で。
あーあ、と苦笑いする声が耳元で聞こえ、
「もーすこし、我慢できそうだったのに…」
「あ…は、う…ッん、んん」
息を整える暇もなくキスをされ、ぼんやりする頭でそれを受け入れる。
さっきまでの滅茶苦茶なキスではなく、ばかみたいに優しいキスで頭がまたぼうっとする。
しばらくするとズルッと東の自身が引き抜かれ、穴から何か流れ出る感覚に思わず身震いした。
それが東の出したものだとわかるのに時間はかからず、威勢もないであろう目で目の前の男をにらむ。
だけど、
「ごめんね、大好き」
そんなことを言われて抱き締められるのなにも言えず。
「…お前なんか、大嫌いだ…」