うまい話にゃ、02



何分経っただろうか。

さすが新薬とあって体の奥がじんじんとしてきた。部屋の中の甘い香りがまたそれを刺激する。


「ん…っ、ん、は…」


本格的に芯が疼き始め、たまらず深紅のベッドに倒れ込んだ。
フカフカとバネのきいたマットとシワ一つない伸ばされたシーツ。本来ならば心地の良い場所だろうが、今はあたたかいシーツが体に纏わり付くようで身もだえる。
自然と手がペニスへと向かい、そこではた、と思った。


「…抜いていいのかな…」


根本的なことを聞いていない。
いや、説明があったのかもしれないがあまりに長くて聞き流してしまったのかもしれない。

熱く重たい身体を起こし、部屋を見渡す。棚にずらりと並ぶ玩具は女性用にも思えるが、普段見れない卑猥なそれらにペニスが疼いた。



「ゆ、柚木さんっ」


『はい、なんでしょう』



適当に声をかけたら、案外簡単に会話ができるようになっていた。



「あの、その…これって、自分でシてもいいんですか?」


『もちろん構いませんよ。あっ、ひとつ忘れていました、ちょっと待っていてください』



いいんだ…、そう思うとさらに体の奥がじんじんとした。
それにしても何を忘れたのだろう、ぼんやりあたりを見回しながら考えていると、ガチャリとノブを回す音がして柚木さんが入ってきた。


「すみません、一番大切なものを…これ、この中に精液を採取してください」


コト、と枕元の机に紙コップが置かれる。赤く目盛りがついていて、いかにも医療用っぽい。


「簡易なもので申し訳ありませんが…」


「いえ、ありがとうございます…」



すぐ帰るのかと思いきや、柚木さんはまじまじと俺の体を見はじめる。いや、正確には診ているのか…
冷静に考えるとこの状況が恥ずかしくなって、思わずうろたえる。
でもどこか柚木さんの視線すら熱く感じてしまい、俺はもじもじうつむいた。



「来たついでにお聞きしますが、今のところどうですか?」



「えっ…いや、なんていうか…体が奥から熱いっていうか…色んなところがじんじんして、ッあ!」


つぅ、と柚木さんの指が首筋を撫でる。突然の刺激に変な声が出てしまった。



「そうなんですか…本当だ、もう紙が濡れてしまっていますね」


「ひ、あぁっ!待っ…」



完全に反応してしまっているペニスの先端を指先で円を描くように弄ばれる。

薄い紙ごしではまるで直接刺激を与えられているようで、びくびく体が震える。



「ここはどうですか?気持ちいいですか?」


「んぁあうっ…!あ、はぁっ…」


柚木さんの手が俺の胸へ伸び、突起を強くつまみ上げた。それだけで体が大きく跳ね、また先走りが紙を濡らす。まるで問診のような言葉遣いと、されていることのギャップにまた自身が反応する。

触れられただけでも十分な刺激なのに、こねられ、押し潰されるように扱われて声が止まらない。



「あ、あぁん…っきもち、ぃ…っあ、もっと…っ」


「ふ…自分でなさるのでは?」



カリ、と乳首を軽く引っ掻いたあと柚木さんは意地悪く耳元でそう囁き、そのまま耳の中に舌を捩じ込んだ。
ピチャピチャという水音が耳を犯し、それだけで達してしまいそうだった。



「あ、はぁ…っん、あ、柚木さ、弄って…弄って、くださ…っ」



半ば泣きながらそう懇願すると、柚木さんはふっと笑って胸の突起に舌を這わせた。
「ああっ」と声が出て思わず体がのけ反り、柚木さんに胸を押し付ける形になる。
ちゅうっと吸われたかと思えば、尖らせた舌でくりくりと乳首を転がされ、時折甘く噛まれる。

突起を弄っていた手が下へ下りていき、濡れた紙ごしに自身を擦る。
「あんっ」と掠れた声がでて口を抑える。



「あ、あっ…あぁあんいやぁっ…!」


「おっと…」


びゅる、と勢いよく射精してしまった。柚木さんは手早い動きで出る直前に紙コップをかざし、俺の精子は一滴もこぼれることなく見事紙コップに収められた。

乳首だけでイッてしまったとか、恥ずかしさでたまらないが、それよりも柚木さんの舌の感覚がまだ残っていて、射精を見られたことでなおさら興奮してしまっている。


「一度目の射精はとても重要なんですよ」


うっとりした目で紙コップの中を見る柚木さん。はたからみたら相当おかしいが、正気を失っている今となってはもうそんなことなどどうでもよくて。


さっきみたいにしてほしい、乳首だけじゃ物足りない、もっと、もっと、もっと、


「ゆ、柚木さ…まだあつく、て…はぁ、ぅ」


吐く息すら体内の粘膜をいやらしく擦るようで身もだえる。
きゅう、と自ら自身を触れようとした瞬間、柚木さんがそれを制止した。



「ああ…そうですよね、まだここが切ないですよね」


「やぁ、あぁっ…」


グリ、と自身の先端を乱暴にえぐられる。



「せっかくなのであれを使ってみましょう」


「…は、あれ…?」




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