うまい話にゃ、
研究者×フリーター
/媚薬・玩具・尿道




『今だけ超高額アルバイト・体におトクな新薬を一日試すだけ!締め切り間近』


求人サイトの隅にあったその怪しげな広告につられ、俺は都内の某研究所に来ていた。
研究所といっても、ちょっとテナントの余ったボロいビルにかまえる「男女共用媚薬開発部」といういかにも怪しい会社だ。


帰ろう、そう思いエレベーターに戻ろうとした瞬間、運悪く関係者らしき人に声をかけられてしまった。


「アルバイト登録してくださった瀬田さんですよね?」



黒髪眼鏡に白衣、いかにも理系研究者っぽい。俺が何も言わずに苦笑いでうなずくと、その人はニッコリと笑った。


「お待ちしておりました、担当の柚木です。こちらへどうぞ」




研究所の中は案外広くてきれいだった。何個も部屋があり、それぞれの部屋で白衣を着た人達がモニターや検査器具とにらめっこしている。
俺は文系大学出身だからこんな就職先とは一生無縁なんだろうなあ、なんて思いながら柚木さんのあとをついていく。


奥の部屋へ通され、ひととおり報酬とこれからする実験内容、書類への筆記、簡単な性格検査を受けた。

金額はやはり高額なものだが、実験内容自体は事前に電話やサイト内で聞いていたものと同様のものだった。

ずばり、新発売される媚薬の事前チェックだ。



「ではこれから別室に移りさっそく弊社の新薬を試していただきます。何かご質問はございますか?」


「あー…えっとあの…死にませんよね?」



柚木さんはキョトンとすると、ふふっと笑った。



「まだそのような例は出ていません」


「ま、まだ?それってその」


「それでは向かいましょう」



俺の言葉を遮るように、柚木さんは席をたった。ものすごい不安感が残る中、俺は仕方なくついていく。


別室の前には仕切があり、その奥で着替えるよう指示された。
そこでギョッとする。全裸に、ほとんど紙みたいな服。こんなの聞いてない…!なんて言えるはずもなく、壁みたいに厚い扉を開けて部屋へ入る。

そこでもまたギョッとする。
一面ピンクの部屋。甘い香水のにおいと、ビビッドピンクの棚にはアダルトグッズがこれでもかというほど立て掛けており、中央にはハート型の豪華な天蓋付きベッド。


「ちょ…これじゃ度の過ぎたラブホじゃないですか…」


「今回瀬田さんには統制条件の部屋ではなく実験条件の部屋で実験を行ってもらいます」


最大限新薬を生かせるように、と柚木さんはまたニッコリ笑う。

そして俺に小瓶を手渡した。
透明な小瓶の中には薄ピンク色の液体が入っていて、見た目は持ち歩ける香水みたいだ。
もしかしてこれが、いや、もしかしなくても新薬…媚薬だ。
ゴクリと唾を飲む。



「じゃ、私は別室でモニターしてますので何かありましたら呼んでくださいね」



そう言い残し、柚木さんは去って行った。
ドキドキしながら、しばらく小瓶を見つめる。でも戸惑うなんて今更だ。
無事に終えることができますように!と、小瓶の蓋を回しあけると、ピンク色の液体をのどの奥に流し込んだ。





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