最悪な日。(続)
ゲイ×ノンケ/愛撫・開発


あのトイレでの出来事があってから、俺は自慰だけでは満足できなくなっていた。
あの名取という男の愛撫の感覚や言葉のひとつひとつが鮮明に頭と身体に染み付いているようで、今でも思い出すと身体が疼くのだ。

しかし渡されたメモは結局使うことなく、財布の中にしまったままだ。


そうして今日も終電ギリギリに乗りつき、電車に揺られる。
ちょうどあの日もこんな真夜中で、そういえば散々な日だった。
まぁ連日連夜残業ざんまいでボロボロなわけだから、なにも特別最悪な日ではなかったのかもしれない。

そんなことを思っていると、あっという間に自宅の最寄駅に着いた。
へとへとになりながらタクシーでも呼ぼうかと思い辺りを見渡した瞬間、見覚えのある金髪頭が目についてハッとする。


「な、名取さ…」


こちらを振り返った彼は別人で、俺は恥ずかしさに顔を背けた。
しかし思わず口をついて出た名前に、忘れかけていた欲望がじわりと意識上へのぼってくるのを感じた。

あの、感覚―…


ドクンと心臓が高鳴り、腹の奥が疼く。まただ。また、求めている。



俺は止まってくれたタクシーを断り、あの公園へと向かった。






*


相変わらず殺風景な公園。前と変わったところといえばセミが鳴きはじめたことくらいか。
気味が悪いのは変わらないな。そう思いつつサクサクと土の上を歩いていく。

誰もいない公園を、まばらにある街灯だけが弱々しく照らしていた。
そしてとうとう、あの場所の前まできてしまった。
ゴクリ、息を呑んでゆっくり足を踏み入れる。


しかし、そこにただただ小汚い男子便所だった。
前みたいに喘ぎ声も響いていない、人っ子一人いないただの便所。

はぁ、とため息をつく。
何を期待していたのだろう、いや、あんなことをしたのがそもそも間違いだったのだ。
色々な思いが頭をめぐるが、どれも言い訳くさくて情けない。

帰ろう…



「おにーいさんっ!…って、あれ?!」


「っ!!」



驚いて振り返れば、そこには今度こそ間違いなくあのときの金髪頭―…変わらない姿の名取さんがいて。
しばし沈黙が続き、ふたりで目を真ん丸くしたまま見つめ合う。

最初に沈黙を破ったのは俺だった。



「な、…名取さん…なんで、ッん、んンぅ…っ!?」



言い終わらないうちに、壁に押し付けられて深くキスをされる。
あまりに突然のことでまた驚いていると、切なそうに目を細めた名取さんの顔が見えた。


「会いたかった…なんで連絡くれなかったの?」


「ん、はぁ…っ、勇気が…でなくて…」



ぷっ、と名取さんが吹き出して、優しく頬をなでた。


「可愛い言い訳ありがと。でも会いにきてくれたんだ?」


改めて会いにきたなんて言うのが恥ずかしくて、思わず目を伏せて小さくうなずいた。
名取さんは額に軽くキスを落とすと、俺の顎を上げ唇に舌を這わせた。たまらず俺が口を開くと、強引に舌を突っ込んでくる。


「んッ、は…んんぅ…、ぁっん」


くちゅくちゅと音を立てながら舌を絡ませ、ときには強く吸い上げる。それだけで頭がぼーっとし、反応し始めたペニスを名取さんの足にこすりつけた。


すると名取さんの足が股を割り開き、力強くペニスを刺激し始めた。


「あぁっ!あ、あぁンっ…」


「キスだけでこんなになってる…溜まってる?ほら、すごい」


「やぁあっ!だめ、ひぁッ」



ガクガク足を痙攣させるようにしてペニスを刺激され、俺は名取さんにしがみつきながらなんとか堪えた。


「どうするの?こんなになって」

ペニスの形を確かめるように深く足をグラインドされ、自然と腰は動く。もうだめだ、あのときみたいにしてほしい。
俺は半泣きになりながら懇願した。



「名取さん、に、いじってほしい…です…」







個室の中に入ればまた前みたいにトイレの蓋に座らせられて、パカッと足を大きく開かれてしまった。
名取さんの視線が愛撫するように中央を見つめ、それだけで自身は反応し、ズボンを押し上げてしまっている。

手がのびてきて、ズボンの上からぐにぐにと玉からペニスまで揉みしたがれる。



「あっ…はぁあん…っ」



「さてと…どうされたい?」


「っ!…ど、うって…」



ジーッとジッパーが下ろされ、スラックスから反応しているペニスがこぼれた。
恥ずかしさから顔を背けると、小さな笑い声が聞こえた。



「ねぇ、ココ…どうして欲しい?」


「ひあぁっ!」



ツゥ、と裏筋を指先で撫で上げられ、つい声が出てしまった。
口を手で覆うとまた名取さんがくすくす笑った。恥ずかしい…!



「…わ、わからない…です…っ」


「嘘つき。」


「は…ぁッ、あぁんっ…!」



れろぉ、と先端を舐め上げられ、尖らせた舌先で見せ付けるように割れ目をほじくられる。
そのまま亀頭をくわえ込まれ、ぐるぐる円を描くように舌で責め立てられれば「あっあっ」とひっきりなしに声が出た。


「ちゅっ…どうされたい?それともやめる…?」


名取さんが意地悪い笑みを浮かべてペニスに舌を近づける。ヒクヒクとペニスは震え、あの快感を期待している。
やめてほしくなんかない、もっとぐちゃぐちゃにしてほしい。もっと、もっと。
考えるだけで腰は揺れ、腹の奥がきゅんとした。
もう恥じらいなど持てる理性は残っていなかった。



「はぁ、あっ…名取さ…っ、もっと、舐めて…っしゃぶって欲し、あぁああっ!!」


言い終わらないうちにペニスをむしゃぶられ、俺は待ち焦がれた快感にむせび泣いた。


じゅぽっ、じゅるるるっ!

「やぁ、あ!あぁあっ、だめ、ア、ひぁぁんっ…!」


「ン…ちゅ、ずっとこれされたかったんだ?」


「はぁ、アッ!あ、ひぅうん…っ」



じゅるるっとわざと音を立てながら根本から先端まで思い切り吸い上げられる。
返事をすることもできず自然と腰が浮き、名取さんの頭の動きに合わせてカクカク上下に揺れてしまう。



「んあぁうっ!イ、くっ、はぁンっ!だめ、あっあっあっ!いやぁッ…!」



もうイく、と息を止めた瞬間、名取さんの愛撫もぴたりと止まった。
なんで…と名取さんのほうを見ると、グイッと腰を引き寄せられ、足の膝裏を自分で持つよう指示される。
前よりもっと恥ずかしい格好になってしまい、ふるふる震える。


「言ったでしょ?もっと気持ちいいことしてあげる、って」



名取さんはそういって妖艶な笑みを浮かべると、また股間に顔をうずめた。ペニスを舐められるのかと思いきや、舌は裏筋からどんどん下降していき、ぺと、とアナルのまわりを這いはじめた。


「やあっ!だめ、名取さんっ!そこ汚い、から…っアんっ」


皺ひとつひとつを丁寧にほぐすように舌を這わせ、時折固く尖らせた舌先がアナルのナカに侵入する。
恥ずかしい、気持ち悪い、ぴちゃぴちゃという音に耳をふさぎたくなった。
しかし、ぐちゅっと奥を擦られればペニスの先からじわりと先走りが溢れた。



くち、ぐちゅぐちゅ…じゅるっ

「あっ…あンん…う、はぁんっ」


もどかしい刺激に腰を揺らしていると、名取さんはアナルから舌を引き抜き指を宛てがった。

まさか、と思い慌てて見ると、ときすでに遅くツプンと音を立てて指が第一関節ほど入り込んでしまった。


「いやっ…!やだ、ぁ、あ…ッ、なんか、変…っ」


指はゆっくり侵入していき、愛撫でとろとろになっていたそこはすぐに根本まで飲み込んだ。
「ほら、入っちゃった」と名取さんが言い、コスコスと奥を突かれる。

早くも二本目がねじこまれ多少痛みを感じたものの、入口を舐められ舌と指が交互に出入りすればすぐさま快感へと変わっていった。

舌では届かなかった奥の内壁を指がバラバラに刺激し、ずるるっと引き抜かれる瞬間にさえ擦れる感覚に身体が震えた。

グリッと指が回転した瞬間、二本がナカのある一点をかすめた。



「ひあぁあっ!!いやぁ…!だめ、だめ、あぁン…っそこ…っ」


「ん?ここ?あぁ、すごいコリコリしてる…ここ気持ちいいんだ?」


「あぁあっ!ンあぅっだめぇ…っ」



だめだだめだと首を横に振っているにも関わらず、そこを容赦なく指でゴリゴリ押し潰され、入口は舌がぬぷぬぷと出入りする。
無理矢理ナカの壁を舌と指で擦り上げられる感覚に目眩がし、名取さんの指の動きに合わせてペニスがいやらしく揺れた。


ぐちゅ、ずるるっ…ゴリゴリッ!

「ひあぁあっあっあっあっ!あぁんッ!いやぁあっ!だめ、だめぇ…んあぁッ」


「あー可愛い…ここもこんなに糸引いてやらしいね、全部吸ってあげる」


そう言うなり、名取さんはビンビンに反応して今にも達しそうな俺のペニスにむしゃぶりついた。
ぐぽっぐぽっと口の中で竿を強く吸い上げられ、先端を舌で舐め回される。


じゅるっ!じゅぷじゅぱっ、じゅちゅうぅうっ

「いぁああっ!あっ!それだめぇッ…はぁあンっ…ッあぁ、あンっ!あんッ!」


激しくなる愛撫とともに指の動きも連動し、上も下も好き勝手に責め立てられる。
ぐちゅ、とか、じゅぷっとか色々な音が聞こえてきて、どれがどこから出ている音なのかわからなくていやらしい。

指がナカの一点をとらえたまま激しく出入りする。
沸き上がる射精感にたまらず名取さんの頭をペニスに押し付けるとまたも激しくなる舌の動きに翻弄され、


「あぁんっ!ひう、あ、イっちゃう、も、イッちゃうぅ…ッ」


「ん…、イッて?ほら、」


「やあぁッ!いや、やぁあッイく、イっちゃ、あんっ、あぁああアっ!」



びゅくんっ!びゅる、びゅくびゅくっ


身体を痙攣させながら、俺は名取さんの口の中に大量に射精してしまった。ゆっくり引き抜かれる指の感覚に「あ、あっ」と身を震わせながらふと名取さんをみると、ニッコリ笑って舌を出した。
俺の出したそれがねっとりいやらしく絡んでいて、思わず赤面する。名取さんはそのまま口を閉じると、コクリと音をたてて飲み込んだ。



「ね、おにーさんの名前おしえて」

「名前…?っあ!」



ちゅう、と先端に残った精液を吸い出される。思わずくねる腰を名取さんが掴むと、掃除するかのように優しくねっとり根本から先端まで口にくわえながら吸い上げた。


「あうっ、あ…ッあん、ゆーいち、ゆういち…っ」


「ん、ゆーいちね。俺、明日もくるから」



待ってる、なんて笑顔で言われ、俺は頷くことしかできなかった。

正直もう、名取さんに出会うまでの自分には戻れそうにない。


最悪な日。(続)






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