愛だの恋だの
クール生徒×先生/舐め責め・甘い







「この公式にこれを挿入するってことすか」

「うん、代入ね…」


かんかんに照りつけた日差しと申し訳程度のそよ風が教室を茹らせていた。
僕の目の前にいるこのしかめっ面の齢17歳、糊のきいたシャツを着た嵐という生徒は脅威だった。少なくとも僕だけにとって。


「暑いのに向井先生、シャツ脱がないんすか」

「…シャツは脱がないし、冷房つけないでって言ったの嵐くんでしょ」

「特によこしまな気持ちはないんすけど、脱いだ方が涼しいっすよ」

「携帯をしまって」


この高校に非常勤として就任して二年。
都内でも有名な進学校と聞いていたので、頭の良い生徒たちを前にしてカチコチに緊張していたところ、やけに頻繁に話しかけてくる優等生がいた。

それがこの嵐くんだった。

最初は授業終わりに質問にくるくらいで、意欲のある姿に関心したりもした。
が、昼休みに職員室へお弁当を持ち込んでの質問、校門までの送迎、特に必要もない補習の懇願などなど、明らかにおかしい、おかしすぎる行動がここ最近酷くなってきている。

行動だけじゃない、やたらセクシャルな発言も多くなってきている。
でも僕は非常勤の身だし、何より進学校。変な噂なんて流したくない。

だから補習だって、人気の無い教室だろうがやけに薄暗かろうが嵐くんのためだと思ってやっている。
そう、彼によこしまな気持ちはない。


「先生、物憂げな表情もそそるんすけど、これで合ってるか見て欲しいす」


きっとないはずだ。

動じては駄目だ向井、そう自分の胸に言い聞かせて横に…というより少し斜めに椅子をつけ、赤ペンを出す。
プリントを見れば綺麗な文字と完璧な数式。
たぶん僕の補習なんていらないくらいに、嵐くんは頭が良い。
綺麗な文字に見惚れていると、頭部に違和感。

嗅がれている。


「ちょっ!!」

「違います向井先生、別に頭皮のにおいがたまらないとかじゃなくて単に白髪が気になっただけで」

「えっうそ白髪?!」


まだ30手前、とうとう歳が頭髪にまで及び始めたか…そう思いふと手を伸ばすと嵐くんの手がそれを制止する。


「先生の…抜いてもいいすか」


息遣いが荒い気がする。

若干の恐怖を抱きつつも俯いたまま、でも白髪は嫌だしと頭の中で懸命に考える。
しばらくの沈黙。「二本あるっすね」とトドメの一言。


「ぬ、抜いて…」


ぴろりん、と可愛らしい携帯の音が聞こえた。


「なに!?今の音なに!?」

「録音…」

「なんて!?」

「いや何でも、あっ先生動いたら白髪の位置がわからくなる」

「そ、そっかごめん…」


ひとまわりも違う青年に白髪を抜かれる日が来るとは。こうべを垂れているこの感じも相まって、我ながら情けない。

そのうちプツンと頭部から音がして、ぴくっと肩が揺れる。


「先生、痛い?」

「…う、ちょっとだけ」

「…もう少しなんで…我慢して…」


なんなんだ…
突っ込みどころはあるものの、白髪を人質に取られていては身を委ねるしかない。
また少しの痛みがして髪の毛がたぶん抜かれたのだろう、ほっとして顔をあげようとすると、嵐くんの手がするりとうなじに回ってきた。


「ちょっ…」

「先生汗かいてる」

「それは暑いから…ッう」


つぅ、と彼の指先が首筋を這う。
くすぐったくて肩をすくめると、あろうことか反対の首筋に嵐くんが顔を寄せる。
思わず突っぱねるも、しまったと思った。至近距離で嵐くんの顔が見える。
普段あまりまじまじと見ないけれど、白く引き締まった肌にバランスよく置かれた端整なパーツがありありと見えて思わず息を呑んだ。


「あ、あの…嵐く…んぅ!?」


嫌に色気のない声を出してしまったのも、呆気にとられているうちにまんまとキスされてしまったからだ。
力を込めて胸を押してもびくともしない。嵐くんの舌が唇を舐め、さすがに冷や汗が出る。


「んぅ、ンッ、あ、ひぁ…ッ!」


シャツの中に入り込んできた手に驚いて口を開くと、待ってましたとばかりに舌がねじこまれる。熱い舌が歯列を器用になぞり、唾液と一緒に舌先を弄んでは吸う。
こんなの知らない、そう混乱しているうちにも角度を変えて舌を入れようとするので、ますます頭の中がぐちゃぐちゃになる。
シャツの中に入った手は探るように上へ、微かに乳首に触れてたまらず抵抗する。


「やだ、や…ッ、あ、あらしく…っ」

「先生やっぱえろい…」

「なに、ばか…っや、あ、ンンぅ…っ!」


再び唇を塞がれ、同時に乳首を擦られる。
強弱をつけてゆっくり、指先で挟みながらくりくりと押し潰されれば身体が揺れ、嵐くんのシャツを握るしかなかった。
さんざん口内をねぶった舌が、今度は首筋を這っていく。同時に乳首の先端に爪をたてられ、ぞくぞくとした何かが腹の奥に響いた。


「んぁ、アッ、うぅ…っん、あ、やだぁ…ッ」

「触るだけじゃやだ?」

「ちが、だめ、や…っ、!」


ハッとして見ると、シャツをたくし上げてまさに乳首へ舌を這わせようとしている嵐くんと目が合ってしまった。
熱を持って艶めいた瞳に酔いそうになって、思わず目を逸らそうとしたけれど、彼の手がそれを阻止する。


「見てて」

「や、あらしく、やめ…っひぁッ!」


れろぉ、と下から掬い上げるようにして舌が乳首を覆う。それから円を描くようにいやらしく舌が乳首の周りを這って、硬くした舌先が粒になったそれを弾いた。
さっきまで指で弄られていたそこは嫌になるほど敏感になっていて、少しの刺激でも声が出てしまう。


「あっ、ア、ひ、だめ、やぁあ…ッ」

「乳首だけじゃだめ?」


そう言うと乳首への愛撫はそのままに、嵐くんの手が下半身へと伸びていく。易々と想像できるその先に再び冷や汗が流れ抵抗しようにも、強く吸われてしまうと力が出なくなってしまう。
いとも簡単にベルトを外されズボンをずり降ろされたかと思えば、下着越しに指先がそこを伝っていく。いやらしさを含んだその触れ方に思わず腰がびくついた。


「ひぁ、ッあ、んン…っ、だれか、きちゃうからぁっ」

「関係ないっす」

「い、ぁあ…ッも、ちくびやぁ…っ」


ちゅう、と音を立てて強く乳首を吸われ、やっと終わったかと思えば今度はその下半身に顔が埋められる。
慌てて制止すると両手を捉えられ、そのまま椅子の後ろへ半ば拘束されてしまった。


「こんなんなってて、説得力ないっすよ」

「あ、あ、う…ッんぅ…っ」


器用に歯で下着をずり降ろされると、確かに説得力のないほど反応してしまっているペニスが現れて目を反らす。
ふぅっと息をかけられて腰が跳ねた。
先走りが溢れて先端を伝う感覚が嫌でもわかる。こんなところで、生徒にこんな、考えるだけで頭がおかしくなりそうだった。


「だめ、嵐くんやっぱり、こんなのおかしい…ッ僕、つかまっちゃう…っあ、う」

「何もしてないのにもう腰揺れちゃって、ますます説得力ないっすけど…先生がねだってくれればお互い合意になるんじゃないすか」


また屁理屈を…!
ごねようとしたけれど、先端にちゅっとキスをされてしまえば再びペニスが熱を帯びていく。
触れそうで触れないところまで彼の舌先が伸び、微かな熱い吐息がそこへかかる。


「おねだりしたら…さっきみたいに舌で思う存分気持ちよくしてあげられるのに」

「あ、あ、う…ッ」

「だめっすよ。腰動かしても舐めてあげられない」


ずるい、卑怯だ。こんなにさせたのは嵐くんなのに。
理性と欲望の天秤が頭の中でガタガタ揺れている。嵐くんの舌先が太ももの付け根をねっとりと這う。あ、あ、と声は漏れて、その瞬間にまた目が合った。
だめだ、だめだ、


「あらしく、も…っおねが、なめてよぉ…ッ」


ほろりと涙が頬を伝って、嵐くんが唾を飲む音が聞こえた。


「ひぁあっ!!」


数秒もしないうちにペニスに熱が走る。
すっぽりと口の中に含まれたペニスはそれだけでびくびくと痙攣し達してしまいそうだった。
熱くなった舌先が先端をぐるぐると舐め、先走りと唾液を絡ませながら奥まで咥え込まれる。


「ひぃ、いっ、ア、やら、ッあんっ」

「うそつき」

「あ、あ、ア、んぁあっ!」


尖らせた舌先がグチグチと先端を虐める。
ひっきりなしに声が出て、もっともっとと腰が痙攣する。
じゅるじゅると啜る音が教室の中に響くたび、いけないことをしているという背徳感がまた腹の奥を掠めては熱を持つ。


「ひぁ、あ、ッア、や、あんっ!だめぇ、それ、」

「腰浮かせて…先っぽ気持ちいい?」

「あ、ア、やらぁ、吸っちゃ、ッあ、あァんっ」


もう達しそう、その瞬間にぱっと愛撫が止まった。
肩で息をしながら嵐くんの方を見れば、意味ありげな微笑を浮かべて下着もズボンも全部脱がされた。
と、お尻の方に違和感を覚えて見ると、浮かせた腰の先にある蕾へ指が這われていた。さっと血の気が引いていく。


「おねが…ッ、それ、それはだめ…っやだ、」

「でもイきたいっすよね?」

「あ、ッ…う、あ、アっ!?」


答えあぐねていると、つぷりと何かが割れ入る感覚。指だ。
思わず息を呑んで固まるが、指はどんどん中へ入り込んでくる。言い知れぬ恐怖と違和感に身悶えていると、再びペニスにしゃぶりつかれた。


「やぁあっ!あ、ア、やだぁあっ」


先端から根元へねっとりと這われた舌はアナルへ辿り着き、その入り口をれろれろと舐め啜る。その最中にも指はナカへねじ込まれ、ぐにぐにと何かを探るように蠢く。
アナルの違和感と舌の熱で頭が混乱し、ガクガクと脚は震えた。
気持ちよくない、こわい、やめてほしいのに、


「やぁあっ!!」


ナカのある一点を指先が捏ねた瞬間、ビリビリとした何かが頭からつま先まで駆け抜けた。
あまりの出来事に目を見開いて嵐くんを見ると、またも笑みを浮かべてこちらを見ていた。


「見つけた」

「ア、いやっ…こわ、あ、あ、あぁあっ!」


指が奥まで捻じ込まれて激しく出し入れされる。さっきの一点を集中的に責め立てられれば声が抑えられず、開きっぱなしの口からは唾液が溢れて止まらない。
加えてペニスの先端をちゅうちゅう吸われ、ぐちゃぐちゃにされていく下半身の快感に身悶えるしかなかった。


「あぁあっ!!いや、も、でちゃ、あらしくんっ!ア、やだぁあっ」


じゅるるっとはしたない音をたててペニスを吸われた瞬間、僕は嵐くんの口の中に精液を吐き出してしまった。
は、は、と肩で息をし、震える脚の間からごくり、嵐くんの喉が鳴る音が聞こえた。
まさか飲んだのか、そんなことも聞けずに薄ぼんやりとした頭を動かそうとするけれどなかなか上手くいかない。

そのうちカチャカチャとベルトを外す音がした。おかしいな…僕のベルトはもう外れているのに…


「先生、途中までと思ったけどもう無理っす」


さっきまでさんざん指で弄られていたそこに何かが当てがわれた。


「俺、先生のこと、」


何かが耳元で囁かれ、次の瞬間下半身に強い衝撃が走った。


「あぁあッ!あ、いっ、やぁッ!」

「きっつ…は、あー…」

「あっ、あっ、うぁあッ、いた、ひぃ…ッ」

「痛い?もうちょっと…ッ」


奥まで入ったそれがゆっくり入り口まで戻って、確かめるようにナカを擦る。
あ、あ、あ、と口から漏れる声をかき消すように嵐くんの舌が口内を犯した。痛みが麻痺していくと次は先ほどの快感が押し寄せてきて、ぐちゅぐちゅと出入りするペニスに脚が震えた。


「先生、せんせい、俺のちんこが先生のぐちゃぐちゃになったお尻に入ってる、出たり入ったりするの気持ちいい?」

「あ、アァッ!いや、やァッ、あ、あっ、ア、あらしく、ひぁあっ!」


痼を思い切り押しつぶすように腰を打ち付けられ、僕は涙を流しながら机にしがみついた。
いやだと言うとさらにピストンが加速して、息をするのもやっとだった。


「うぁあっ!や、アァッ、ふ、うぅ…ッ」


苦しい、痛い、それなのにまた僕のペニスは熱を持ち始めていて、止まらないピストンにただただ喘ぐだけだった。
ぐいっと片足を持ち上げられ、そのまま横からガンガン腰を打ち付けられる。結合部からはいやらしい水音が響き渡り、耳を舐められればまたゾクゾクと腹の奥が畝る。


「やぁあっ、ふか、ふかいの、やだぁっ!あらしく、も、アッ、ひぁあうっ」

「ッ…は、可愛い、先生好き、大好き」

「や、ァッ!!」

「あ…っ、締まった、先生ほんと…っ」


嵐くんの顔を見るといつもの涼しげな表情はなく、切羽詰まったその瞳にアナルが痺れる感覚がした。そうこう考えているうちにまた唇を塞がれ、どちらともない唾液がだらだらと顎を伝って机に落ちた。


「は、も…ッ俺、いきそ…っ」

「や、アッ!はやいの、だめ、あ、あっあっ!やら、あぁうっ!」


だめと言うほどにピストンは早く、再奥の痼めがけて熱い塊がナカを引きずり回る。
息もできないほどの快感に涙がこぼれ、それを舐めとるように嵐くんが優しくキスをした。その瞬間にドクリと心臓が高鳴って、


「やだ、アッ、ひぁああっ!!」


吐き出した精液がびしゃりと机に跳ねる。イッてしまった、生徒のペニスで、そう考えてる間にもピストンは止まず、むしろますます酷くなっていく。
イッたばかりのアナルは敏感で、ナカの壁をゴリゴリと擦り上げる感覚が生々しく感じられて息も出来ない。


「か、はっ…ア、いや、ッ、あぁんっ!イッて、ぼくイッてるからぁっ」

「先生可愛すぎて俺…っおかしくなる…ッ、く、いく、」


そう言うと嵐くんのペニスが再奥を貫いて、熱い液体がお腹の中にびしゃびしゃとかかる感覚がした。それさえも快感で、僕のペニスからはまたぴゅくぴゅくと先走りに似た精液が溢れ出た。
朦朧とする頭の中、「好き、すき」という嵐くんの声だけが響いていた。












「これがこうなって…でもこの角度が…」

「それはこっちの公式」


茹だる暑さの中、嵐くんは連日懲りずに僕を呼び出しては、教科書片手に難問プリントと睨めっこしていた。
相変わらず猛アプローチは続いているし、最近は質問というより詰問の域に達している。


「先生、シャツ脱がなくていいんすか」

「…脱がないし、携帯しまって」


このセクハラのようなやりとりも相変わらずだった。しぶしぶ携帯をしまう嵐くんを横目に、僕は窓の外を見た。
部活動の騒がしい音もだんだんと静まり、外はもう西日に染まってうっすら雲も陰ってきていた。


「雨、降るんすかね」


ふとかけられた声にはっとする。
確かに予報は雨。静かに後片付けを始めた嵐くんに続いて、僕もファイルを整理する。

そう、相変わらずだけど、


「あ、嵐くん」


一つ変わったことがある。
彼が僕の声につられてこちらを見た。


「続き、僕の家でも、だいじょうぶ…」


僕の言葉に嵐くんは笑って、僕の額にそっとキスをした。












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