幸太くんの不幸06
大瀧くんのチャレンジ
/モブ目線・玩具・潮吹き





土日だというのにボクシング部は練習試合。
外ではセミがここぞとばかりに鳴き絞り、蒸し暑い屋内の隅では申し訳程度の扇風機がカタカタと音を漏らしていた。

練習試合の相手は隣街の高校。
ほぼ毎月のようにお世話になってるからもうメンツも見慣れたもんだけど。

その中でも一人とびきり強い奴がいて、まぁなんだ、そいつと話すことはあまり多くないんだけど、しょっちゅう変な噂は聞くわけで。

タイマーの音が鳴り響き、それぞれがグルグルとリングの中を回る。
俺は常日頃、個人技のスポーツであってもコミュニケーションが大切だと思ってる。
だからこそ、月に一、二回の練習試合であっても対戦相手の奴とは仲良くなりたい。


「大瀧」


ロープに掛けられたタオルを手に取りそいつに投げやると、そいつは少し意外そうな顔をする。
俺は思い切って話しかけてみた。


「お前の性癖について変な噂が出回ってるんだけど」


タオルで汗をぬぐう手が一瞬止まるが、大瀧は俺に目もくれない。
めげるな俺、頑張れ俺。


「具体的に言うとなんていうか、小便とか大便系にしか興奮しないっていう、」


あれ、なんで俺のほうが照れてんだろう。
ていうか大瀧ぜんぜん顔色変わらないじゃん、やっぱデマじゃん、俺すごい恥ずかしい奴じゃ


「そうだけど何」


いやそんな涼しげな顔で!!

恥ずかしそうにする素振りもなく、普段通りの会話ですと言わんばかりの回答に俺のほうがたじろいでしまう。
言葉に詰まってしまったが、そうなんだ〜で終わらせるわけにもいかない。


「で、でも女の子に恥ずかしい思いさせるのかわいそうじゃね…?」

「…恥ずかしい?」

「あっ、そこから説明必要なんだ…とりあえずさ、なんかこう、ちゃんと女の子が気持ち良くなれるようにって俺も考えたわけよ」


で!と、リングを降りてから大瀧を手招きする。俺は隅に置かれたエナメルバッグからごそごそとブツを取り出した。

極太バイブだ。

大瀧は表情ひとつ変えずそれを数秒見つめる。


「うんごめん、いったんしまうね」

「いや、それ俺のカバン」

「知ってる。あげる、あげるから」


これも大瀧の性癖に付き合わされる彼女のためだ。
ていうか見栄を張って買ってきたはいいものの使う機会がなかったバイブを押し付けてるだけなんだけど、仕方ないよね。大瀧の、ひいては大瀧の彼女のためだから仕方ないよね。
彼の視線がどことなく痛かったが、カバンへ無理やり詰め込んだ。






すっかり日も暮れ、俺たちは挨拶をして帰宅することになった。
野郎どもがうじゃうじゃとボクシング部の部室から出て行く中、俺は携帯を探していた。


「三留、俺ら先に帰ってていい?」

「ごめん、了解ー」


じゃあな、と部員たちが早々に帰っていく。
朝来た時は確かにカバンの中に入ってたはずなんだけど。

もしかして隙間に落ちてしまったのかもしれないと、ロッカーとロッカーの間を覗いたり部屋の隅に頭を入れたり探していると、部室に向かってくる足音。
やべ、守衛か何かか、と咄嗟にその隙間へ体を滑らせた。

ガチャリとドアノブが捻られ、まるで恐るおそるという具合にゆっくり扉が開く。
入ってきたのは、メガネを掛けたいかにもオタクっぽいひ弱な男子。
あんなのここのボクシング部にいなかったよな…


そいつはオドオドしながら足を踏み入れ、とあるロッカーの前に止まると、「帰っちゃったかな…」と呟いた。
どうやら誰かを待っていたようだが、もうボクシング部は誰一人として残っていないはず。
が、それと同時にまた部室の扉が開く。
入ってきたのは大瀧だ。

メガネ男子の顔は見えなかったが、一瞬で身体が強張ったのが分かった。


「お、大瀧くん…」

「何してんの」

「あ、え、と…結城くんを、探して…」


ああ、大瀧と顔見知りなのか。
ていうか結城って、一年の結城のことか。
サッカー推薦で高校入ったのに何故かいまボクシング部に所属してるっていう。その割には動きも良いしスタミナもあるから注目されてるんだけど。


「結城ならさっき帰った」

「あ、そ…ですか、ごめんなさい、」


そう言うとメガネ男子はそそくさと部室を出ようとしたが、大瀧が突然そいつの腕を掴んだ。

まぁ無断で部室に入ったんだから、一応エースとしてはビシッと言わなきゃいけないとこなのかもしれない。
メガネ男子には申し訳ないが、これもボクシング部の厳しい掟…


「今日は大便、出ねえの」


ん?

何かな、予想の斜め上どころか垂直になりそうなくらいの不思議な質問なんだけれども、そしてメガネ男子が何故か頬を赤らめているように見えるんだけれども、これは俺がこの隙間に入っていることによっていつもと違う視野に脳が驚いているせいなんだろうか?


「きょ、今日は、でな…っあ!」

「小便は?」


あ、これ俺の視野の問題じゃねぇや。

大瀧はがっつりとメガネ男子の股間をまさぐぅてるし、メガネ男子はそれに合わせてビクビクと肩を揺らしている。

その上「今日は、でな…っ」て何?いままで受けたことのない種類の衝撃が俺を襲ってるけど、この衝撃に身を預けていていいの?


「お、大瀧く…やだ、や…っ」


そうこうしている間にメガネ男子は手前のソファに座らせられ、ズボンもパンツも脱がせられている。ちょうどここから横向きで見えるような形だ。
足をがっつり開かれてじーっと見られるその光景に俺も目を背けたいが、不思議と少年のそれは少し反応しているようにも見える。


「はず、かし…ッ」

「恥ずかしい…?」


デジャブだ。あんなの恥ずかしいに決まってる。
ところが、あ、と大瀧は何かを思い出したような声を漏らすと、自身のカバンから何かを取り出した。

極太バイブだ。

俺は心の底から少年に謝りたい気持ちになった。


「やだ、や、そんなの、こわい…っ」

「じゃあなんで勃ってんの」

「ひぃ、ッあ!」


ぐしゅ、と大瀧の手がそれを扱く。
少年は大きく肩を揺らすと前のめりになって、いやだいやだと大瀧の腕を掴むも、その手はビクともしない。

大瀧は早々にバイブを穴へと推し当てるが、少年はさすがに顔を青ざめさせた。


「や、そんな、いきなりしたらッ…!」

「ふーん…」


確かにそうだろう。女子だって入れるのにローションやら唾液やら使うだろうに、男に使うとなれば余計に負担がかかるだろう。
というか男が使うこと前提で考えてはいないだろうけどと俺も青ざめていると、大瀧が少年の股間に顔を埋めた。






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