彼をなくして

私はずっと死にたかった。

こんなこと言ったらあの子に失礼やけど。

替わってあげたかったのに。

私があの子やったら良かったのに。

ごめんなさいという言葉しか言えなくて。
ありがとうなんて言えなくて。

ただ、ただごめんなさいと。
悪いのは私たちです。

本当にごめんなさい。

あの子は幸せだったのかなぁ?

幸せに生きれたのかなぁ?

私あの子になんもしてあげれてないのに。

あの子は私を元気にしてくれたのに。

私は。
私は。

あの子と替わりたかった。

あの子はきっと生きたかった。

だって、あんな切実に、母の顔見てないていた。

お母さん、おうち連れて帰ってよ
って言ってた。

帰りたかったよね。
はじめてのおうちだったもんね。

はじめての家族だったもんね。

寂しかったよね、ごめんなさい。
捨てられたって思ったよね。
一人にしてごめんなさい。
一緒にいてあげたかった。
もっと。ずっと。
一人にしてごめんなさい。
迷ってないかなぁ?
不安でないてないかなぁ?
私たちを探してないかなぁ?

どうして君は今ここにいないの。
いつもみたいに私のところ来てくれないの。
どうして?
どうして?

他に死ぬべき者はいっぱいいるのにどうして君だったの?

ねぇ帰ってきてよお願いだからっ
お願いだからぁぁっ
早すぎるよ
もっと一緒にいてくれると思ってたのに。

ねぇ。
ねぇねぇねぇねぇ。
一人で寂しいよね、寒いよね。
寒がりで甘えん坊な君には辛いよね。

私たちも辛いよ。
帰ってきてよ。
帰ってきてよ。
帰ってきてよ。
帰ってきてよ。
帰ってきてくれないと寂しいまんまじゃないかっ
忘れたくないよっ
まだ君の匂いがするよ。
この匂いが消えたら
君がいた事実もなくなるんじゃないかな、とか思っちゃうのよ。

お願い、帰ってきて。
嘘だよって、元気な姿見せてよ。
飛んでよ。
嘘だっ嘘。
うそうそうそ。
私がみた悪夢だ。
早く覚めて。
こんなの知らない。
だって君は元気な筈なんだ

だから早く帰ってきて。
これは現実じゃないもの。

なんでもっと構ってあげなかったんだろ。
なんでもっと一緒にいられなかったんだろ。
なんであのとき気付いてあげられなかったのだろう。
君は辛かったはずなのに。

君のいない家の中は、嘘みたいに暗いです。
他はなにも変わっていない、君がいないだけの空間。

呼んだら返事して、来てくれるんじゃないかって思うけど、来てくれなかったらこれが現実だと認めたみたいで怖いから、私は声に出せないまま。

帰ってきて。
君がいない私たちは
もう私たちじゃないんだよ。

大好きだよ。
大好きだったじゃないよ。過去形じゃないよ。
今も。ずっと。
大好き。
忘れない。

だから。
呼んだら帰ってきて。






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