君に笑顔を


そんな悲しそうな顔しないで

僕だって辛いんだよ

でも仕方がないことなんだ

僕にはもうすぐ終わりの時間が近づいている

君も、気づいているんでしょ?

だんだん、僕の心音が弱くなっていくの

だんだん、瞼を支える力が落ちていくの

僕ね、ほんとうはもう、目を開けることすら億劫なんだ

でも、最期まで君の顔が見ていたくて

僕の記憶に、体に君の姿を焼き付けたくて

だから、そんな悲しそうな顔しないで

僕に見せる最後の顔が、そんな涙でぐじょぐじょだなんて嫌だよ

笑っててよ

君は僕の生きた証、人生

僕は君の生きた証。でも、僕は君の人生にはなれない

知ってるでしょ?

僕らはいつでも一緒だよ

君の全てが大好きだった

優しい声で僕の名前を呼ぶときも

はしゃいで一緒に遊んだときも

君が失恋して大泣きしたときも

君は絶対最後には笑ってくれた

一緒にベッドでぬくぬくして、おいしいご飯も貰うことが出来て

大好きなひなたぼっこができたのも、無邪気に遊ぶことが出来たのも、ぜんぶ、ぜんぶ君のおかげだよ

ありがとう

君が僕に言ってくれた言葉

その言葉は僕の存在理由だったよ
君は僕の存在理由だよ

僕は君を笑顔にするために生まれてきて、君と一緒に過ごすために生きてきたんだ

僕は、僕は君といられて幸せだったよ

だからお願い

僕は幸せだから

君といることを最期まで全うできたから

どうか

笑って見送って

君の笑顔を絶やさないで。




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