つまらない授業を今日も消化し、帰りの電車で携帯の電源を入れると、メールマークに1の表示。
誰だろうか、と思案するまでもない。
こんな時間、俺にメールをしてくる人間はただ一人しかいないからだ。
昨夜、爪を切りすぎた親指をすいすいと動かして、メールを開くと案の定、あの女からだった。
私って生きてていいの?という素晴らしくめんどくさい内容に答えを手早く打ち込み、送信を押した。
あの女、中学時代からの友人、来栖このみ。彼女はどうも精神的に弱いようで、なにやら難しい名前の精神の病をいくつも抱え、覚えにくい名前のクスリを毎日毎日たくさん服用している。こいつは、人を奴隷か何かだと思っているのか、困ったとき、悲しくなったときなど直ぐにメールをよこし、慰めを求めてくる。それが例え、昼でも夜中でも。彼女とのメールのやり取りで夜が明けてしまったこともざらにある。次の日、俺がいくら用事が入っていようとも、だ。なぜなら彼女にとって俺は都合のいい男だから。
だから、彼女が眠ければメールのやり取りは終わり。暇だったら、相手をさせられ、ネガティブモードに入った彼女を慰める。好きな人の話を聞いてあげる。
これが、俺の役目。
そんな女、すぐに切ってしまった方がいい。友人は皆、口を揃えてそう言った。
しかし、俺はこのみをどうしても放っておけないのだ。いくら鬱陶しくても、いくら眠たくても。彼女がオーバードースに溺れて、リスカに溺れて、泣きすぎてずるずるの心で俺に助けを求めてくるから。
だから俺は、彼女を放ってはおけない。
それは、好き、という気持ちなんだと思う。たぶん。
ハッキリと言い切れないのは、俺が本気で恋をしたことがないからだ。
告白したこともある。告白されたこともあるし、付き合ったこともある。しかしそれはすべて遊びの延長のようなもので、一種のゲームだった。恋をする、という状態に憧れているだけの、チープなもの。
だけど、このみへの感情はそれらとは全然違うのだ。
俺は、彼女を悲しませたくない。彼女を傷付けたくない。彼女のいやがることは絶対にしないし、彼女のためなら死ぬ覚悟だってある。
きっと、これが、恋なのだ。
俺の、最初で最後の本気の恋は、おそらく叶わずに終わるだろう。
なぜなら、このみには好きな人がいるから。俺は恋愛対象じゃないから。
一時は相手の男を殺したいとすら思った。このみを悲しませて、ずたずたにするのは決まって相手の男だからだ。だけど、そいつのおかげで、俺はまだこのみと繋がっていられる。彼女とメールのやり取りができる。
サブキャラはサブキャラの位置付けを把握して役に徹する。
俺は、このみのためにすべてをかける。彼女の笑顔を守るために。
例え、それが俺に向けられることがないとしても。
それが、幸せにいきる道なんだ。

手の中の携帯が振動して、メールの受信を告げた。





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間があいたのでリハビリ文です(;´д`)
例のごとくいみわかんなくてごめんなさい。

2014.01.12 真憂







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