エリートと凡人


01こんなに好きだというのに









ピロリロリン。

最近、かなり強引に贈られた携帯電話が受信の合図を出す。携帯を持っていなかった非現代っ子の私はコレの使い方も今一理解していない。ゆえに誰かとアドレスを交換することもしなかった。そんな携帯に入っているのはただ一人の連絡先。
慣れない手つきで携帯を開くと、そこには「さぶちゃん」の文字が映し出されていた。

……一体この名前を見たのは本日何度目だろうか。仕方なしにメールを開いてみた。




[ナナたんおはよ☆
今日もいい天気だネ^^
のぶたすが買ってきてくれたドーナツナナたんの分残しとくお
帰りに寄ってネ

PS.今日はポニーテールなんだネ
ナナたんギザカワユス(^_-)]




いやあああああああああああ!ギザウザスぅぅぅぅぅぅ!!

本当なんなんだこのメール弁慶!なんでこんなにメールだけテンション高いの!思わず地面にたたきつけたくなったが、なんとか理性を保ち、ギリリと握りしめる。今日一回も会ってないのにどこから見てんだこの人本当怖い。




「テメー菜々緒!仕事中になに携帯いじってんだぁぁ!」
「だ、だって土方さん!真選組の大事な女中がストーカー被害にあってるんですよ?!警察なら助けやがれ!」
「なんでそんな命令口調?……またあいつか。オメーもとんでもねぇ男に好かれたもんだな」
「こんなモテ期いらないです」


はあ、とひとつ大きなため息を漏らしたのと同時に再び手に握っている携帯が鳴った。


[ナナたんのことはいつでも見てるヨ
そんなにほかの男と話してたら嫉妬するお(^_^メ)

PS.ウサギってさみしいと死んじゃうんだよ]


「だからどっから見てるんだああああ!!!」
「苦労してるんだな」


「まあ、頑張れよ」と無責任な一言だけを残して土方さんは職務へ戻って行った。酷い…!こんなにもあっさりと見捨てるとは人間とは思えない!あいつは妖怪か悪魔の類に違いない!

しかし、いつも気になることがある。佐々木さんがこんなにも私に執着している理由だ。私は佐々木さんとは違い田舎育ちの田舎者で、真選組の女中をしているただの平凡な女。佐々木さんは見廻組局長で生まれも育ちも裕福でエリートだ。
なのに、なんでだろうってずっと考えてるけど、あの人の考えることなんて結局わからない。無表情だし、メールだけテンション高いし。もしかしてからかわれてるだけかな。だとしたらなんか、傷つく。もてあそばれてるのか、私は。そんな軽い女に見えるのだろうか。

ピロリロリン。携帯が鳴る。


[ナナたんは何か勘違いしてるお
こんなに好きだというのに何故伝わらないのですか

悲しいお(;_:)]



……なんで心の中まで見てるんだこの人。エスパーなのか。

てゆうか、ちょっとキュンとしている私は一体何なんだ。意味わかんない。




01 こんなに好きだというのに

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