「うおーい。そんじゃ学校祭の出し物きめまーす」



なんだか学園っぽい台詞を、街角に歩く100人中100人がやる気なさそうと答えるほど生気なく言ってのけた我が担任。もとい銀八先生。そしてそんな担任をやる気なさそうな目で見ている隣のクラスメイト。もとい高杉くん。

それにしてももうそんな季節か。3年生になって、やつらの暴動にまきこまれ、高杉君にからまれて生活してきたからなんだかあっという間に感じる。いい思い出なんて一つもないけど。増えたのは生傷と付きまとってくるヤンキーですけど。

というか、担任はやる気ないけどクラスメイトのやる気がはんぱない。なんか雄叫びあげてる。



「どうするアルか!やっぱ無難にたこ焼きとか焼き鳥とか売るアル!」

「それただお前が食べたいだけだろ。売る前に全部食べる気だろ」

「ここはひとつドS喫茶でどうでしょう。飢えた雌豚どもを可愛がってやりまさァ」

「なんですって!?そこはドM喫茶でしょ!?まあ私は銀さんしかMになってやらないけどね!」

「いいわけあるかァァアァ!!そんなもん委員会の時点でふるい落とされるわァアアア!!」

「はいはーい。勝手にハッスルしてんじゃねーよ。ホントろくでもねーやつの集まりだな、テメーら」

「一番ろくでもないのは担任だと思います、先生」

「担任の悪口を言うやつはろくな奴がいないぞ、メガネくん」

「生徒の名前も覚えられないやつに言われたくねーよ」





結局何一つ話が進んでいない事に気づいてるのかこいつら。てか高杉君携帯ゲーム始めちゃってるし。モバ○ーにログインしてるよ。なんか育て始めてるよ。





「あーテメーらに意見を仰いだ俺が悪かった。おい、蓮」

「なんですか」

「このクラスで一番まともなのは断然お前だ。なんとかしてくれ」

「…うちのクラスは無駄に顔の良い男女が多いから執事喫茶とかメイド喫茶みたいなものにしたらそこそこウケるとおもいますよ」

「まともな意見をどーも。まともすぎて反応に困るわ。ありきたりすぎて困るわ」

「もうお前と口きかねー」




せっかく意見出してやったっていうのに何その反応。マジ殴っていい?殴っていいよね?てか高杉君もうゲームあきたからって机ガンガン蹴ってくるのやめていただいてもいいですか。地味にダメージうけてるからね。かまってちゃんか君は。




「しゃーねーけどそれしかまともな意見ねーし、もーそれで決定。反対の奴いるかー?いたら手を上げなさい。半殺しにするから」

「もうそれ脅し」

「いねーな。はいホームルーム終わり―」

「ただ単に自分が早く帰りたかっただけだろ」



どこまでテキトウなやつなんだよと思ったのはきっと私だけじゃない。さっちゃん以外そう思ったはずだ。そう信じてる。銀八先生が教室を出た後、各々変える準備をしだす。私も特に用事はないので教科書をまとめて帰ろう。




「おい西藤」

「なんですか」

「けーるぞ」

「なんでそんな友達みたいなノリ?なんでそんな親しげ?」

「いちいちうるせー奴だな。俺に反抗する気じゃあるめーな」

「そろそろ私も反抗くらいするよ」

「殺されて―のか」

「さあさあ帰ろうじゃないの!一秒でも早く帰ろう!ね、高杉くん!」

「何だアイツ、高杉に飼われてるのか?」

「しらね」





このクラスに、味方なんて一人もいないんだよバーカバーカ!


知ってたけどね、そんなの


(この目から出てるのは涙じゃないから断じて)
(おせーよノロマ)
(神様どうかコイツに敵うほどの力を与えてください…!)










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