「だけど、どこから探します?闇雲に探したってただ時間の無駄ですよ」
「ハムパーティーでも開けば奴を釣れるアル」
「神楽ちゃんそれはちょっと無理かな。でも新八くんの言うとおりだよ。あの子の行きそうなところを推理しなきゃ」
「ギャルの行く場所……ねぇ」
そう言って銀時は数秒黙りこくった。
ギャルの行く場所……ったらある程度限られてくる。
「ダンスバー……とかか」
「ああ成る程」
「じゃあ片っ端から歌舞伎町のバーに行ってみよう」
一刻も早く見つけ出さないと日が暮れるどころか日付けも変わってしまう。夕御飯も作らなきゃいけないし。そう思って歩こうとする私の腕を何故か銀時が掴んだ。
「なに?」
「待て待て、朱鶴お前ェは先帰ってろ」
「は?」
銀時の言葉を直ぐ理解することが出来なかった。
「……なんでよ」
「バーつったら不良のたまり場だしよ。危ねェだろ?」
「私が足手まといになるって言うの?」
「そうじゃねェよ」
「なんつーか」と呟きながらもガシガシと頭を掻く銀時を鋭い眼で見る。
そりゃあ私は神楽ちゃんみたいに強くない、新八くんみたいな男の子より力もない。だけど、剣術なら私だって出来る。銀時のいない三年間ずっとずっとやって来た。銀時に守られなくても強くなるために。なのに、…なんで!
「俺はお前がしん……」
「もういいわよ、あんたなんかもう知らないわクソ天パ!!」
私はパシッと銀時の手を払いのけ、一人でズンズンと前へ進んだ。もういい。私一人だって出来るもの。私は一人、歌舞伎町の町に溶けていった。
「銀ちゃん、なんでマミーにあんなこと言ったアルか」
「朱鶴さんだって剣術出来るって言ってたじゃないですか。僕よりも強いって自慢してたのは銀さんでしょ?」
「そう言う問題じゃねーよ。ただアイツが傷つく可能性が少しでもあるなら俺はそこに近づかせたくねェだけだ」