無事に新八くんも退院し、今日は珍しく依頼人に会う日だった。なのに銀時ときたら誰と飲んだか知らないけど二日酔いで先程から依頼内容も聞かず、ボーッとするだけだった。因みに神楽ちゃんは庭先で鹿威しを眺めている。
「ちょっと銀さん!真面目に聞いてくださいよ」
「大きな声出すんじゃねえよ。こちとら二日酔いなんだぞ。助けてくれー朱鶴ゥゥゥ」
「悪いのは銀時でしょ、まったく………」
なんの役にも立たない銀時の代わりに私がしっかり聞かなきゃ。そう一人意気込んで依頼人の話を聞いた。
「娘が1週間も家に帰ってこないんです。私が言うのもなんですけど綺麗な子だから……なにかよからぬことに巻き込まれたのではないかと」
そういって依頼人が私達の前に置いた一枚の写真にはお世辞にも美人とは言えない肉付きの良い顔黒のギャルだった。
「そーっすね……ハムを製造する機械に巻き込まれている可能性がありますね」
「いやそーゆうのじゃなくて事件とかに……」
「事件?あー、ハム事件とか?」
「オイ大概にしろよ。せっかく来た仕事パーにするつもりか」
銀時のテキトウである意味で適当な答えに新八くんがとうとうキレた。もー私知らないからね。
「でもコレ僕らより警察に相談した方が……」
「そんな大事にはできん。我が家は徳川幕府に使えている由緒正しき家柄、娘が夜な夜な遊び歩いているなどと知れたら一族の恥だ。何とか内密に連れ帰ってほしい」
娘より世間体……か。私は釈然としない気持ちのまま銀時を引きずって依頼人の家を出た。
「めんどくせー依頼がはいったもんなだなあ、おい」
「この際仕事内容を選んでられませんよ。僕だってそろそろ給料貰わなきゃ困りますよ。僕んち入院費払って火の車なんですから」
「テメーのケツに火が点こうがどうでも良いんだけどよーそろそろ坂田家もヤバイからね、コレ」
銀時の言うとおり、最近はお金が無さすぎて困っている。今は私が貯めてた貯金やお登勢さんとこでちょいちょいバイトした給料で何とか切り盛りしている。嫁に稼いでもらってるってどーよ。
「んじゃ、とっとと不良娘ひっ捕まえてガッポリ金もらうとしようや」 「そしたら酢昆布買ってくれるアルか!?」
「10箱までな」