気づいたら布団の中で寝ていた。
ぼんやりとしていた視界がだんだん、はっきり見えるようになってきた。


あれ……私どうしたんだっけ?
確か台所で倒れて……そして―――。

一生懸命思い出そうとしたけどやっぱり無理だった。
ただ覚えていることは誰かが私を呼んでいたことだけ。
あきらめた私はゆっくりと体を起こした。





「ん……?」







隣から寝息が聞こえてきたのでそちらに目を向けると、銀ちゃんがいた。
その銀ちゃんの手には私の手がしっかり握られていることに気付いた。




「銀ちゃん……!?」







驚いて思わず声を大きくしてしまった。
はっと慌て片方の手で口を閉じたがやはり遅かった。






「ァ……?起きたのか、朱鶴」


「お、おはよう銀ちゃん」







ふぁああ、と大きな欠伸をする銀ちゃんに苦笑いが漏れた。
しかし銀ちゃんの目の下にある隈に気づき、目を細めた。







「銀ちゃん、もしかしてずっと看病してくれてたの?」


「ん……まあな」







恥ずかしそうに目線を反らす銀ちゃんを見た途端、心臓がギュッと締め付けられた。
どうしよう……申し訳ないと思う反面、めちゃくちゃ嬉しい……かも。






「あ、ありがと……」


「おー……」







お互い目を合わすことができなかった。
きっとめちゃくちゃ顔が赤いから。

なんで私こんなにどきどきしてるんだろ。
ここ最近思い続けていた疑問をまた自分に問いかけた。








私、もしかして銀ちゃんのこと……。







「はは、まさかね」

「何がだよ?」

「んーん、なんでもないよ」








本当は気付いていたのかもね、この気持ちの名前を。
だけど、きっと、伝えてはいけない。







この関係が壊れてしまうから。







それは心の中に

(なんだか)
(切ないね)

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