何か最近の私はどこが可笑しい。風邪でも引いたんだろうか。
銀ちゃんの笑顔見るだけでドキッとするし、ちょっと指先が触れただけで赤面するし。
いやいやいやこれは女性本能だ、きっと。
男性の笑顔を見せられたり触れられたりしたらドキドキするのはあたりまえだよね?
誰か首を縦に振ってくれ。
「おーい、朱鶴?」
「うわわわわ!」
横からニョキッと出てきた銀ちゃんの顔に驚きすぎて洗っていた皿を床に落としてしまった。
パリーンッとけたましい音が台所に響いた。
「お、おい大丈夫か?」
「あ、うん大丈夫大丈夫!」
しゃがんで割れた皿の欠片を拾おうとしたらいきなり銀ちゃんに手を掴まれた。
「な、なに!?」
「危ねーだろ、俺が拾うから……って
お前顔赤くね?風邪でも引いたのか?」
そう言って銀ちゃんが私の前髪を分けて手をおでこに当ててきた。
これなにフラグ!?
「おまっ、マジで熱いぞ!」
「え……?」
そう言われると、何か体がダルいような気がしてきた。
あれ……これ……本当に風邪……?
そう思った途端、視界がぐらついた。
「朱鶴!!」
最後に聞こえたのは、銀ちゃんの私を呼ぶ声だった。
熱×熱=風邪
(ちっ…どうすりゃいいんだ!)