「アイスクリーム食いてぇなコノヤロー」

「帰ったらあるよ。まあ私のだからあげないけど」

「嫌がらせか?それ俺に対する嫌がらせだろ?」

「今日チョコレート買ってあげたでしょ?それで我慢してよ」







日が傾き、烏が巣に帰っていく頃、買い物袋をぶら下げて歩いていた。
今日は銀ちゃんと言う名の荷物持ちも一緒だ。
今日のようにチョコとか甘いもので釣れば一発で引っかかった。
単純な頭で助かってます。




「あ、朱鶴ちゃん」






銀ちゃんと話ながら歩いていると近くに住んでいるおばちゃんに声をかけられた。
彼女、本名は花江さんと言って若くして独り暮らしをしていた私を何かと世話してくれた方だ。





「こんにちは。どうかしたの?」

「それが……噂で聞いた話なんだけどね」






そう切り出すおばちゃんの表情は少し青ざめていた。
少し緊張した私は息を飲み、次の言葉を待った。






「朱鶴ちゃん家の近くに湖があるでしょ」

「はい、近くと言っても徒歩10分位かかりますが」

「そこに出るのよ」





え、DE RU ?
ままま…まさか、







「幽霊が」









ギヤァァァァァ!
マジですかァァァ!!






「ばばばばーさん。とうとう老化か?老眼鏡買った方が良いぜ」

「私が見たんじゃないよ。最初に言ったでしょ?噂だって。ここ最近で10もの目撃者が出てるんだそうよ」

「うるせーババァ!てきとうなこと言うんじゃねェよ!」





発狂したように叫ぶ銀ちゃんの横で、私は考えた。
あの湖に幽霊が出るなんてあそこに住んでからは一度もなかった。
だったら現れたのは本当につい最近となる。

それは本当に幽霊?
もしかしたら違う何かを見てそう思い違いをしてしまったかもしれない。てかそうであってほしい。






「行ってきます」


「?」


「行って確認してくる!その湖」


「はぁぁあぁあ!?」





だってこのままだったら私もうあの家に住めないよ!
怖くて夜も眠れなくなるよ!
それだったら確認して真実を知った方が全然良いと判断したのだ。





「頼もしいわ、朱鶴ちゃん!村のみんなもすっかり怖がっちゃって」


「俺ァいかねーよ」


「は?ありえない、いたいけな少女を一人で行かせるの?」


「いたいけな少女?心配するなお前は立派な珍獣だ」


「殴られたい?あ、さては幽霊が怖いんでしょ」


「こ、怖くねェよ」


「ごめんね怖いのに誘っちゃって。銀ちゃんはチキンハートの持ち主だから幽霊が苦手なのね。仕方ないよね、じゃあ私一人で」


「わァったよ!上等だ!海でも川でも行ってやんよォォォ!」







冷や汗を掻きながら銀ちゃんが言った。
本当に単純。
私は心でニヤリと笑った。






おばちゃんの噂

(銀ちゃん、この手は何ですか?)
(いや、お前が怖がってると思って)

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