「私的には〜何も覚えてないんだけどォ、前になんかシャブやってた時ィアンタに助けてもらったみたいなことをパパからきいて〜」
行きつけの喫茶店に集まった私たち万事屋の目の前に座る女の人。
この人が今回の依頼人です。
前に、というのはあの春雨事件の時のことで、その時に薬中になっていた彼女。
なんとか立ち直り普通に生活を送れるようになったみたいだ。よかったよかった。
「痛い目見たしもう懲りたの。でも今度は彼氏のほうがヤバいことになってて〜」
「彼氏?ハム子さんアンタまだ幻覚見えてんじゃないですか!」
「マジかよ。駄目だよ〜いくら彼氏ほしいからって妄想で作り上げちゃ」
「悲しい女アルな。ハムはハムでもボンレスハムだから自信持つアル」
「ハム子ちゃん。あのね、人生つらいことたくさんあるよ。だから、まだあきらめないで」
「オメーら人を傷つけてそんなに楽しいか!!」
…どうやら彼氏の話は本当らしいかっこわら。
ごめんなさいハム…公子ちゃん。なんかどうしても信じられなくて。
「コレ、彼氏からのメールなんだけど」
そういって携帯画面をこちらに向けてきた。それを受け取った銀時のみんな顔を寄せ、中身を確認する。
"マジヤバイんだけどコレマジヤバいよ
どれぐらいヤバイかっていうとマジヤバイ"
「あーホントヤベーなこりゃ。俺たちより病院に行ったほうが…」
「頭じゃねーよ!…実は私の彼氏ヤクの売人やってたんだけど〜私がクスリから足洗ったのを機に一緒にまっとうに生きようってことになったの〜」
けど、と話は続く。
「深いところまで関わりすぎてたらしくて〜辞めさせてもらうどころか〜なんかァ組織の連中に狙われだして〜とにかく超ヤバイの〜」
どうでもいいかもしれないけど、こいつの話し方めっちゃ腹立つ。
横を見れば銀時もイラついた表情をしていたのでたぶんこう思ったのは私だけじゃない。
「だからアンタたちの力貸してほしいの〜」
私たちは4人で顔を見合わせた。
「どうするよ。俺これ以上このハムに関わってたらなんかブチ切れそうなんだけど」
「でもハム子さんの親って確か金持ちでしたよね、報酬は期待できますよ」
「もう白米もそこを突きそうな私たちに仕事を選ぶ権利なんてないわよ」
「私卵かけごはん食べたいアルヨ!」
「…しゃーねえか」