「おい朱鶴ーお前んち扇風機ねェのかよ。銀さん今にも溶けて液体化しちゃう」
「それが去年に扇風機壊れちゃってうちにはないのよ。買うお金もないしね。それに銀ちゃんの脳はもう溶けてるから大丈夫だよ」
「オィィィ!何が大丈夫なのかわかんねェよ!遠回しに馬鹿って言ってんの?ねぇ!?」
「あれ、そう聞こえなかった?」
「え、コレ泣いていい?」
7月に入りますます暑くなってきた今日この頃。外では短い人生を語るようにミーンミーンと鳴く蝉の声が響く。
そんな中、暑さにうだる銀ちゃんは団扇をとろとろ扇いでいた。
私はと言えば生活費を稼ぐために内職中だ。
「朱鶴ーやっぱり今の時代扇風機は持っといた方がいいぜ?近所のおばちゃんから「あら、篠山さんって扇風機も持ってないざます?私のお家なんてクーラーに換えましたわ!」なんて馬鹿になれちまうぜ?」
「馬鹿にされて結構。そんなおばちゃんは木刀で……ね」
「ね、じゃねェよ!近所のおばちゃーん逃げてー!」
「もーうるさい!いま仕事中だよわたし!」
「さっきから気になってたんだけどよォ、その鉄屑なに?」
「鉄屑じゃない、知恵の輪よ」
今さっき組み合わせた知恵の輪を銀ちゃんに突き付けた。
その知恵の輪は三つのリングがついた形だった。
「本来組み合わさったものを取っていくものでしょ?だからこの一つ一つのパーツを組み合わせて商品として売り出すの」
「オメーのIQどのくらい?」
そう問いかけてくる銀ちゃんに「さあ?」と返してまた作業を再開した。
隠れた才能
(コイツ意外に天才?)