ちくしょう、覚えてろ



「よっ!」
「うげ、匪口」


聞きなれた声に思わずうんざりしてしまう私は、ひどい人間でしょうか。いいえ、正当な反応です。なぜならば彼は一日数十回は捜査一課を訪れ私に声をかけ、謎の告白をして去っていく。それを繰り返されてはげんなりもするだろう。
最初は年下の男の子に好かれたと思ってうれしかったし、結構かわいがっていたのだけど、日を追うごとにエスカレートしていく匪口の言動に正直もう、耐えられません!!




「好きだよ」
「あーへーへー」
「なんだよその反応!」





なんだよ、と言われましてもねえ。無視されないだけありがたいと思えやクソガキ!!まったく…私はこの子より10歳ほど年上だというのに…もてあそばれている気もする。彼から見ればただのババアだと思うよ。実際私だって匪口のことクソガキだと思ってるわけだし。何が言いたいかというと、こんな年増の女が10代ピチピチの男の子の恋愛対象になるだろうかっていうことさ。





「ねえ、好きなんだって」
「あーそ」
「聞いてんの?好き」
「語尾みたくつけんな」
「好きだって」
「……」
「好き」
「…」
「す」
「うるせええええええ!!」




ごめんなさい、捜査一課の皆さん。お騒がせしてすいません。ですが、わたくし、限界が来たようです。



「いいかい匪口少年!私の中じゃ19歳は小学生と変わらないんだよ?ん?お分かり?私の好みは笹塚さんのようにダンディーなヒゲが生えてて笛吹さんのようなセンター分けにした眼鏡で筑紫さんのように寡黙な大人が好きなのだよ!!」





ぜーぜー、一息で行ったもんだから語尾の方酸欠で震えた。自分でも訳が分からないこと言ってる自覚はある。べつにヒゲなんかすきじゃねーし、笹塚さんとか早く栄養とれって思ってる。寡黙な人なんて別にすきじゃねーし、筑紫さんは個人的に好きですけど。笛吹さんにいたってはただの子賢いただのチビだと思ってる。だけど、これで匪口が諦めてくれるならと嘘をつらつらと並べたわけだが…目の前の匪口をみるとそれはもう…ひどくショックを受けた顔をしていた。背景に雷が見えるよ、私。
そのまま何も言わずふらふらと覚束ない足取りで一課を出て行った。…ちょっと、いいすぎた?いや、実際迷惑していたのは私だから、これくらいいいよね?でも…うーん、ちょっと反省。




「お前ヒゲ好きなの?」
「すきじゃねーです」
「ねえねえ俺は!?」
「うるせーオタク」





なんだか、匪口のことが気になって先輩後輩にあたってしまったが後悔はしていない。






次の日、ひげをマジックペンで書いて、髪をぴっちりセンター分けにして眼鏡をかけて寡黙に会いに来た匪口を愛しいと思ってしまった私は、ロリコンなのでしょうか



「……こういうのが好きなんだよね」
「ううん、あれ嘘」
「は?」
「うそ」
「……」




ちきしょう、覚えてろ!!


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また19歳に提出





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