断章 運命か絆か




それは、夢の中だった。


「おおおおおおおっ!!」


蒼髪の青年が、黒衣を纏った男性に斬りかかる。


それを男性は魔法でいなす。


その男性に向かって私は魔法を放っていた。



それはかわされ、男性は青年に魔法を打ち込む。


「ぐっ……!」


剣を支えに立ち上がろうとする青年に止めを刺そうと男性が詠唱していた魔法を私は自身の魔法で打った。




立ち上がり、息を整えた青年は男性を真っすぐに見据えて言った。


「俺たちの最後の戦いだ!」


ついで、私の方をみた。


「大丈夫だ、ルフレ。俺たちには絆がある。」


その言葉に、不思議と力が湧いてきた。


奴を倒す。


私は目の前の敵を見た。







「今だ、一気に攻撃をしかけよう。」


私と青年の連携した技。
敵は、あっという間に倒れた。


「やった、倒したぞ………」


笑みを浮かべる青年に向けて、奴は最後の力を振り絞り、魔法を詠唱し始めた。


「貴様らごときがあっ……!」


「!」


私の身体はとっさにうごいた。


青年を庇い、代わりに私が魔法を喰らう。



青年は、倒れた私の元に駆け寄った。


「大丈夫か、しっかりしろ!
……奴は倒した、これで、全てが……る……ん……」


次第に彼の声が遠ざかって行く。


途端に身体が苦しくなり──────



「…………っ……!?」


気が付けば、私の手は、青年に魔法を放っていた。



「…お前は、なに、も…悪く、無い…
お前……だけ、でも……逃げろ…」


そう言って、青年は倒れた。


それを見つめ、私はただただ笑っていて……





そこで私の夢は終わった。




  
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