右手にするりと指の絡まる感触。御幸は俺の手が好きだ。
俺とて奴の左手を我が物にしたいのは同じだから、好きにさせている。
「なぁ、ちゅーしていい?」
訊いたくせに答えを待たず、その唇が触れた。
「フン…尊敬のキス、か」
「何?どゆこと?」
「格言だ。手の上は尊敬のキス。場所によって意味がある」
「へぇ…じゃあお前ならどこにする?」
挑発的な笑顔で問われれば応えずにはいられない。
まったくこいつは本当に負けず嫌いの扱いを心得ている。
多少の復讐心を込めて、どうだと小首を傾げる生意気な鼻っ柱に噛みついてやった。

「ッてぇ!何?これも意味あんの」
「俺とお前は狂気の沙汰、ということだ」


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可愛いカップル描いちゃったーより、『手の甲にキスしている』『舜御』
手の上なら尊敬のキス。額の上なら友情のキス。頬の上なら厚情のキス。唇の上なら愛情のキス。閉じた目の上なら憧憬のキス。掌の上なら懇願のキス。腕と首なら欲望のキス。
さてそのほかは、みな狂気の沙汰。

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