「男の子!」

騒がしく帰って来たかと思いきや、すぐにクシナは俺が読んでいた資料を取り上げ満面の笑顔でそう言った。何が男の子なのかとか、そもそもこんなに騒いで大丈夫なのかとか、鍵も閉めずに靴も揃えずに俺のとこに来たんだろうなぁとか。そんな事を考えつつ、とりあえず興奮気味のクシナをまぁまぁと宥める。しかしクシナは冷めるどころか宥めてた俺の手を握って、さっきより大きな声で言った。

「だから男の子だってばね!」
「だから何が男の………え…それって、まさか…」
「そうそのまさか!」

呼吸をするのを忘れてしまうくらいに、嬉しさが肺にいっぱいに広がる。それを言葉に出来ずにパクパクと金魚みたいに口を開閉して、ようやく「はっ」と息を吐き出し、吸った頃には、俺は立ち上がり「男の子!男の子!」と喜ぶクシナを抱き締めていた。強く強く、でも優しく。無邪気に笑いながらクシナも俺の背中に手を回し、肩に顎を乗せてきた。

「男の子かぁ…男の子、かぁ」

綺麗な赤髪に顔を埋めて、噛み締めるように何度も何度も呟く。するとクシナは顔を俺の首筋に擦り寄せ、「どんな子になるのかな?」と聞いてきた。息が当たって擽ったいけど、それ以上にこの幸福に包まれた現実が擽ったい。
お互いの心臓が煩いくらいドキドキ鳴る中、いつか逢える子供の姿を二人で想像しては、親という事を一時忘れて、子供のように馬鹿みたいに笑った。

極彩色の未来

アニメしか観てませんが、この二人が好き
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