棄てられた少女

"絶望"


ほんの数分前までは安定しきっていたシセラの心が強い感情に支配されていった。


ここは天界城にある唯一の法廷。

シセラとその義姉リズは王権相続の為そこにいた。

そして、本来シセラが継ぐ筈であったものが、今はリズのものになってしまったのだった。


隣に立つ、数歳年上の少女を見上げると、勝ち誇ったような笑みをこちらに向けて甲高い声でシセラに言い放った。

「私の勝ちね」

「義姉さま…」

シセラは何かを言おうと口を開こうとしたとき、

「五月蝿い!!」

リズの荒げた声が室内に響く。
シセラはビクッと体を震わせ、そのまま俯き黙り込んだ。

「ずぅっと目障りだったのよね、アナタ。
何の能力も無いくせに産まれた時から"お嬢様"って…」

リズは楽しそうに語り始める。
真っ赤に引かれたルージュが光る唇が意地悪気に歪んでいた。

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