シセラがレイのところまで戻ると、いつものように読書をしている姿があった。
「…」
しかし、そこから発せられる雰囲気には、近寄りがたいものがある。
それでも、
「あの、お茶をお持ちしますね」
シセラは声をかける。
怒りの理由はわからなかったが、少し心配になり、そんな自分に、シセラは驚きを覚える。
だが、
「…いい。
今は独りがいいんだ」
初めてといってもいい。
苛立ちが混じった声が向けられた。
「あ…はい、わかりました、マスター…」
シセラは、半歩、後ずさると、くるりとドアに向かった。
自室に戻ると、酷い疲労感に襲われる。
ガラスに映った自分は、少しずつ天使の姿に戻りつつあり、羽が純白に変わり始めていた。
無意識のうちに、ベットに倒れ込んでいた。
バフン、と音がし、シセラは自分の体が沈んでいくような感覚を覚える。
そのまま、シセラは眠りだした。
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