Interval 2
「ねぇ、莎夜」
「んー、何?」
白髪の少女が話しかけると、隣で彼女に体を預けるようにして寄りかかっている、黒髪の少女がすぐに応答する。
白髪の方は葵、
黒髪の方は莎夜といった。
葵は、莎夜が頭を休ませてる右肩の方に僅かに顔を向けると、
「なんでもない」
クスクスと笑いながら、可愛らしく舌を出した。
隣からは、呆れたように、苦笑いと一緒に溜め息が聞こえてきた。
「どうしたの?」
葵が問い、
「ううん」
莎夜が答える。
「……」
「……」
数分の沈黙。その後に再び、
「ねぇ」
と、呼びかける声。
今度は莎夜だった。
「なぁに?」
すぐさま葵が返事をするが、莎夜は何かを言うのを少し躊躇うような素振りを見せる。
「…ねぇ、」
「うん」
「…気にしてる?」
「何を?」
「……」
言いにくそうに口を紡ぐ莎夜のかわりに、葵が言葉を繋ぐ。
「…ひょっとして、私を巻き込んだと思ってるの?」
「…うん」
そう答える声が低くなった気がした。
対照的に、葵は明るい調子になり、冗談半分で頬を膨らませ怒った顔を作る。
「巻き込まれたなんて思ってないから、負い目を感じなくていいんだよ。…って何回も言ってるのにぃ」
「……そうだね」
「私は十分幸せだよ。莎夜と毎日過ごせるし、」
言葉を一旦切って、莎夜の腕に軽く触れる。
「最上の血だって飲めるし…」
葵がペロッと唇を舐める。
「もう…」
莎夜にようやく笑みが見えると、葵も安心し、二人でしばらく笑いあう。
「…ありがと」
「どういたしまして」
どちらともつかなかったが、そんなやり取りが交わされた。
そして、穏やかな沈黙の間を、暖かい風が緩やかに吹き、二人の長髪を揺らした。
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