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あとがき




 ここまでお読みいただき、ありがとうございました。暖かいメッセージをいただけたり、なにより読んでいただけた皆様のおかげで、書きたいものを書き切ることができました。

 伏黒恵くんと相性のいい女の子ってどんな子だろう、と考えて、「善人になりきれない女の子」ではないかなと思ったことで、このお話のふたりになりました。
 これはすごく個人的な解釈なのですが、恵くんは善悪の狭間で揺れながら苦しんでいると思っていて……だから自分のなかに善になりきれない汚い部分を持っていて、なおかつそれをわかりつつも善であろうと足掻いているような子にシンパシーを感じるんじゃないかな、と。人並みに怒ったり誰かを許せなかったり、影になる部分をみて心を許せる部分がきっとあると思うんです。聖人君子のような子は存在するかもしれないけど、恵くんはそんな子は理解できずに遠ざけてしまうような気がしていて。
 そして共感が「気になる」になって、「ほっとけない」になって、惹かれあっていくイメージを持っています。こちらでは描き切れない部分もたくさんあったので、高専軸でのおはなしも、原作展開がおちついたら書けたらいいなとは思っています……。

 それから、「ひだまり」というタイトルについてもすこし書き残させてください。
 9話のタイトルにもなっている「きみとひだまりで眠りたい」がフルのタイトルでして、簡単に言えばこれには「いつ翳ってしまうかわからないような刹那の安らぎを、それでもあなたと過ごしたい」「最期はあなたと心から安らげる場所で眠りたい」のような……ふたつの意味を込めました。
 お互いにとって、お互いのそばにいることが、ひだまりのなかにいるような関係だといいな、と。心地よいぬくもりがあって、一緒にいられない時間にも、ひだまりが残したかすかな暖かさのようなやさしさに包まれるような。そうして、それこそがしあわせだと再確認できるような…………読んでいただいた皆様にも、そんなふうに感じてもらえたら嬉しいなと思います。
 ふたりの今後は、「あめあがり」で描いておりますので、よろしければそちらでもお楽しみください。

 長くなってしまいましたが、こんなところまで読んでいただいて、本当にありがとうございました。「ひだまり」が、すこしでも皆様のこころに残るお話になると幸いです。


20211121 瑠璃





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