甘えて溶けて
「めぐみくん、つかれた……」「……はいはい」
私よりひと回り大きな身体に抱きつくみたいにもたれ掛かると、温かい手がゆるく背中をさすってくれる。髪にそっと唇を落とされる感覚に肩をすくめると、恵くんは小さく笑った。
ああ、私の方が歳上なのにな。いつも甘やかされて、慰められてばっかりだ。「甘えてばっかでごめんね」ぐりぐりと胸元に頭を擦りつけてやりながらそう言うと、恵くんは軽く息を吐く。少し離れた身体とかち合った視線。じっと私を覗き込むから、目を逸らせなくて。そんな私に「いーから、黙って甘えてりゃいいんですよ」なんて言って、恵くんは口元を緩める。
そうして細められた目に、心臓が大きく跳ねた。その奥の瞳は柔らかくきらめいて、それでいて勝ち誇るようにぎらついているような気がしたから。
「なまえさんにはもう、俺がいないと駄目でしょ」