私が西園寺家に来て

2ヶ月余りが過ぎようとしていた。




兄弟のみんなともだんだん打ち解け合い
この家に自分の居場所を見つけつつあった。







ただひとりを除いては……



末っ子の瞬くん。

初めて会った時に雰囲気のある子だなと思った。



時間が経てば仲良くなれるかと思っていたけれど、

2ヶ月経ってもそのキョリは全く縮まることはなかった。






瞬くんは

私だけでなく、


他の兄弟や御堂さんたちからもキョリを取っているように見えた…





この家ではそれが当たり前……








私は彼に

何か出来る?











あなたのことが知りたい…










学校から帰ってきて

私は未だに覚え切れていないお屋敷の中を探検していた。




どれだけ広いのか


どれだけ部屋数があるのか



2ヶ月経つけれど

まだ圧倒される。






でもこんな広い場所を
童心に戻って冒険するかのように
ワクワクしていた。







兄弟の部屋(もちろん中には入らないけど)


書斎


応接間


ゲストルーム


リビング


厨房


食堂


長い廊下


広い玄関…





色んな場所が私にはとても新鮮で堪らない。








ふと
北側の階段下に扉があるのに気がついた。




薄暗いお屋敷の一番端っこ。





こんな人があまり通らないところに部屋があるのかな?






私は興味本位でその扉に近づいた。



ドアノブに手を掛けてみる。







そのとき


「***お嬢様!」



後ろから誰かに呼び止められた。

振り返るとそこには私を追ってきたのか
息を切らした御堂さんがいた。




「み、御堂さん。どうされたんですか?そんなに息を切らして…」


「お嬢様、どうかその扉だけは開けないでいただけないでしょうか」

深刻そうな顔をしている御堂さん。


私は慌ててノブから手を離す。




「許可なく勝手にごめんなさい」

「いえ、私がお嬢様にお話ししておらずに申し訳ございませんでした」





この扉の向こうには

一体何があるのだろう?



御堂さんをこんなにまで深刻な顔をさせる何かがこの部屋にはあるんだ…







「御堂さん」

「はい」

「ここには大切なものが閉まってあるんですか?」



御堂さんが私の質問に一瞬困ったような表情をした。





聞いちゃいけなかったかな…






御堂さんは目を静かに伏せると話し始めた。



「お嬢様にはお話をさせていただこうと思います。この部屋は瞬様が使われているお部屋でございます」

「え、瞬くんの部屋…?」



確か瞬くんの部屋は二階にあるはず…





「もちろん、こちらのお部屋を常に使われている訳ではございません。こちらは瞬様の…」


御堂さんの淋しそうな辛そうな表情が私の目に映る。

その表情に私は一抹の不安を覚えた。





「ここは瞬様が小さい頃の画廊でございました。画廊と言っても小さなものなのですが…

それがいつしか……瞬様が描く絵をご自分で放り込むだけの場所となってしまったのです」









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