ときどき、
隣のあなたを見上げては、いつもあなたから近付いて来てくれる距離に戸惑う。
あなたから来てくれないと縮められない、
届かない、この距離。
3年前だったら隣にあなたはいたはずなのに。
悔しいな。
今は私からあなたに近付くことが出来ないの。
あなたの見えない位置で、
ぴょんぴょんと飛び跳ねてみる私の爪先。
『ん?どうかした?』
あなたがいきなり振り返るから、
私は慌てて踵を地面に着地させて手を後ろ手に組む。
白々しかったかな。
『ん?』
それでもあなたは理由は訊かずに、
背丈だけじゃない、
いつの間にか私の手をすっぽり覆うくらいになった大きなその手で、
私の変わらない手を閉じ込めてしまう。
ズルいよ。
アクションはいつもあなたから。
知らない間に大人になってしまったことを私に知らしめないで。
戸惑ってしまうから…。
知ることの出来なかった時間に嫉妬やくから。
手を繋いだまま、
私たちはゆっくりと公園へと辿る階段を上ってゆく。
私は思い切って、
一歩後ろから、二歩前へ出た。
『瞬くん。』
『え?』
目の前には驚いて見開く彼の瞳。
私の唇には彼の唇。
彼の唇には私の唇。
もっと近づきたくて、
(背伸び+階段一段分=あなたの目線)
title :ありすとろめりあ
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