隠し部屋 | ナノ

 罪と罰*

「エルヴィン…一生のお願いがあるの」

いつに無く真剣な様子のなまえに、エルヴィンはやや身構えた。
こういう時の彼女は大抵とんでもない事を言い出すし、しかも聞き分けが無いからだ。

「藪から棒に何だ」

なまえは少し言い辛そうに、だが興味が圧倒的に勝っている瞳で、

「貴方が一人でしてる所を見せて」

彼はたっぷり数秒沈黙する。最早嫌な予感しかしない。

「……一応聞くが、何を」

自分の勘違いという一縷の望みはあっという間に砕かれる。

「そ、それは、エルヴィンが自分の手で股間を「分かったもう言わなくていい却下だ」

「なぜ!!!」

悲壮な顔で詰め寄る彼女は自分が何を言っているのか本気で分かっていないようだ。

「逆に何故君は私が了承すると思った」

大の男は度の過ぎた純真に頭を抱えた。

好奇心旺盛なのは彼女の長所ではあるが、ここまでくると考えものである。

しかしなまえ一人でそんなアブノーマルな思考に行き着くとは信じ難く、彼女の裏にある人物の作為を感じずにはいられなかった。

「一体どうして一生のお願いとやらをよりによって今使おうと思ったのか、参考までに教えてくれないか」

「ハンジに言われたの、相手のどこが性感帯かを観察したらもっと喜ばせることが出来るんじゃないかって」

やはりか。

今直ぐハンジを団長室に呼び出して説教してやりたい。
エルヴィンはますます深くなる眉間の皺を揉みほぐした。

「君の気持ちは理解したが断る。」

何が悲しくていい歳をした男が処理をする光景を決めた相手とはいえ部下の女性に見せつけなければならないのか。

「そんなあ…お願い、何でもするから」

「何でも…ね」

男の前で安易な発言をする危険さなど考えもしない澄み切った瞳が彼を見る。

「…いいだろう」

彼女に負けず、彼も子供の興味とそして大人の打算を持ち合わせていた。

ベルトを緩めるエルヴィンになまえはごくりと唾を飲む。

ベッドの上で居住まいを正し、まだ硬さのないその部分をまじまじと眺めた。

エルヴィンは慣れた手つきでそれを扱く。

正直、生真面目な彼女の真剣な顔に笑いそうになり興奮するのは至難の技であったが、無垢な網膜に歪んだ欲を焼き付けると思うとぞくりとした。

自分もつくづく変態だと思うが、今の彼女程ではない筈だ。

「わぁ…ぬるぬるしてきてる…」

なまえは次第に頭をもたげる先端を食い入るように見つめる。
エルヴィンまるで新種の昆虫にでもなった気分だった。
鈴口を濡らす透明な液に、彼女は思わず感想を零す。

「ッ…頼むから黙っててくれないか…」

荒い吐息まじりの低い声は、なまえの腰にずしりと響く。
自分の周りを取り巻く空気は淫靡なものに一変し、漸く自分が彼にとんでもない事を要求してしまったと悟った。
頬に一気に熱が集まり、手に汗が滲む。
エルヴィンの股間から顔を背けながら、引きつった声で懇願する。

「や、やっぱりもういいですっ…!」

この状況で自分より恥じ入るなまえに彼の何かがぷつりと切れた。

「君が見たいと言ったんだろう」

彼女の片手を強引に掴み、無理矢理怒張を握らせる。

「ぅあ…」

どくどくと脈打つ塊の感触が皮膚を穿ちなまえは小さく悲鳴を上げた。
血管一本一本までが生々しく隆起し、赤黒い性器は別の生き物みたいだ。
これがいつも、自分の中に入り、掻き回して、解していたのか。
そう思うとずくりと下腹が疼く。

「ッ、はぁッ」

エルヴィンはなまえの手に自分の掌を重ね、陰茎に滑らせる。
暴悪なペニスと白く薄い指の対比に興奮が増す。

「あ…エルヴィン…」

うっすらと瞳を潤ませた彼女は勃起しきった竿を逆らわず扱きながらも、何か言いたげな視線を向ける。
半開きの唇を塞ぎ、舌をねじ込み歯列をなぞる。太ももをこすり合わせる仕草を知らぬふりして口づけを深めた。

「は…なまえ…、観察したいならよく見てなさい」

絶頂が近くなり彼女の手を借り一際強く扱く。
なまえは言われずとも大きくなりひくつく怒張から目が逸らせない。
掠れた声は色っぽく、触られてもいない子宮が震えた。

「っく、ぅ」

低い呻きと共に彼は小さな掌に吐精した。
べったりとまとわりつく精液の雄の匂いに心臓がばくばく跳ねる。
なまえは自身の荒い呼吸にも気付かず、濡れた目で犯された片手をぼんやり眺めた。

軽く放心している彼女をエルヴィンは構わず押し倒す。

「あ、ッ」

ズボンの中に手を差し入れれば、中心は案の定しっとりと湿っていた。

「まさか君…見ているだけで濡れたのか?」

「ち、ちが!」

なまえは羞恥で反射的に逃げ出そうと、彼に背を向けもがくが、エルヴィンは容易く背後からのし掛かり、腰を抱きすくめた。

「俺には恥ずかしい思いをさせておいて逃げるのはフェアじゃない、何でもすると言ったのは君だ。人に物を頼む時はそれなりの覚悟をするんだな」

恐る恐る見上げれば、一度欲の抜けた瞳はやけに爽やかで、そのくせ奥には新たな熱がぎらぎらと燃えている。

「いやぁ楽しみだよ。何から試そうか」

にやりと吊り上げた口角に彼女は心の底から己の知識欲を呪った。





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