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 絶望から求愛*

壁外調査から帰還した夜は、眠れぬ者が多い。

「っあ、ハンジ…」

部屋に響く水音は麻薬だった。
それが自分から発せられるものであることがより情欲を掻き立てる。

こうなることは初めてではない。
寧ろ壁外調査の度に繰り返されてきた行為だ。

ぬるぬると長い指が膣壁の溝をなぞる。それはいわゆる男性器ではないのに、胎内は侵入した異物を従順に迎え入れようと奥に誘い扱く。

一気に指が二本に増えばらばらに動かされると、その質量に雌の本能が震えた。

内部の陵辱はそのまま、既に痛い程主張する花芯を弄られると視界が霞んで何も考えられなくなる。
それが怖いようであり、悦楽に満たされる幸福の様でもあった。

「あぅ!!ハンジ、っ!」

ハンジは挿入もなく私の胎内を知り尽くしている。
入り口のざらつくその場所への執拗な摩擦に体は喜びに悲鳴を上げた。

「おね、がいっ!も、やめ、あぁん!」

「やめないよ。君がぐちゃぐちゃになっても、絶対やめない」

耳の奥でぼんやりとその声を聞く。
私を見つめる瞳はどこか虚ろで、悲しみに満ちていた。
この人の愛を歪んでいると言うのは簡単だ。

長い指は乱暴さの中に慈しみを持ち、快楽の沸点はどんどん下がる。
朦朧とする意識の幸福は、私たちにしかわからない。

「何十回だってイって、何も分からなくなればいい。私なしで生きれないって言ってみなよ」

「ハンジ…っ!」

喉から絞り出された声を抱きしめ、もう何度目かの絶頂に導かれる。

確認行動。
そう例えるのが正しいかもしれない。

ちゃんと感じているか、ちゃんと生きているか。
壁の中に戻ると、無力と現実に凍えた体を温めるようにお互いの存在を確かめ合う。

眼鏡の向こうの温かい鳶色。
今夜だけは虚無に染まってもいい。
都合のいい言い訳をして、首にしがみついた。

子をあやすようゆっくりと耳元に語る。

「ハンジ、大丈夫、愛してるから…」

「なまえ、なまえ…」

泣きそうな声は私しか知らなくていい、誰も知らないで欲しい。

まだ飛べない鳥は明日を生き抜く為覚えた術に縋り、夜の帳に狭い鳥籠で羽を寄せるのだ。









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