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 時には獣のように*

「んっ、ふ、うぅ」

お酒を呑むと、エルヴィンは必ず私を抱く。

侵入してくる舌からアルコールが移って、こっちまで酔いそうだ。

「なまえ、可愛いな」

普段は滅多に吐かない言葉も口にする。

元々お酒は強い人だから泥酔はまずないが、その分私を押し倒す力も残っているというわけで、どっちにしろたちは悪い。

「ふ、はっ…あ、」

大柄な男に密着され、口内を荒々しく掻き回すキスを受ける。

肺が圧迫されて、生理的な涙が溢れてきた。

エルヴィンが唇を離すタイミングで必死に息継ぎをする私は、はたから見れば親鳥から餌を貰う雛のようだろう。

「も、ちょっと、休ませ…はぁ、は、」

酸素不足で頭がぼうっとしてきた。

力の入らない腕で胸板を押し返せば、意外とすんなり離れてくれた。

これ幸いと、ベッドに横たわり呼吸を整える。

「な、に…?あ、や、やだ!」

影が覆いかぶさってきて、逃げる間もなく腰を捕まえられてしまった。

悪あがきでその手に爪を立ててみてもびくともせず、ずるずるとエルヴィンの方へ引きずられる。

「ばか、やだってば!」

「どうして」

本気で不思議がっている心なしか据わった目を思い切り睨み付けてやる。

「や、せめて普通にっ、ああん!」

背後から回った腕にやわやわと胸を揉まれ、勝手に背中が仰け反った。

少しかさついた指が、桃色の円ばかりを擦るせいで、先端に熱が集まっていく。

「あ、ああっ、は、いじわるっ…」

「何のことだ」

いけしゃあしゃあと答える男を振り返れば、随分と楽しそうな顔をしている。

瞳の奥にぬらぬらと宿る光は、雄だ、と思った。

性欲に満ちた雄の目。

実のところ私はこの目が嫌いじゃないのだが、そんなことを言うと男が調子に乗るから絶対に言わない。

「なまえ、いいだろう?」

すぐ近くで聞く低音が、腰に響く。

「ふぁ、耳元で喋らないでっ…!」

「注文の多い子だな」

自分のしていることはさらりと棚に上げて、窘める口調なのが腹が立つ。

胸の膨らみを弄んでいた手が、後ろに移動する。

今身を捩れば、あるいはすり抜けて逃げることが出来たかもしれないが、そんな力はもはや残っていない。

私も大概性欲に満ちた目をしていることだろう。

太くて無骨な指が、背骨をゆっくりなぞる。

それだけで全身に鳥肌が立つ。

熱く皮膚のかたい手は、腰を中心に太ももや肩甲骨を絶妙に強弱をつけて撫で回し、私の脳みそはじわじわと痺れてきた。

私以上に私の体を知り尽くした手が、再び胸元に伸ばされる。
やはり中心には触れてくれないもどかしさに、首を振って細やかな抵抗をする。

「なまえ」

背後からのし掛かった男の吐息が首に押し当てられ、同時に甘い痛みが首筋を襲う。

「あっ、やめ、痕つけない、で!」

「他の男に抱かれる予定でもあるのか」

拒絶しようとした手はあっさり抑え込まれてしまった。

素面のエルヴィンなら、キスマークをつけないでと頼めば二つ返事で了承してくれるのに。

アルコールなど私にとっては百害あって一利なしだ。

「ない、わよっ…!ナナバ達に見られたらからかわれるからっ…!だ、めぇ」

「はは、見せてやればいいじゃないか」

「さいっ、てえ…!」

今後少なくとも私の目の前では酒は呑ませないようにしよう。

「なまえ、」

名前を呼ばれて、続く言葉を理解し慌てた。

「だから、いやだって、ば!!」

「何故」

「あ、ん」

太腿の間にあてがわれた塊に、ぬちゅりと卑猥な音がする。

「ちが、そうじゃなくて、一旦はなし、」

「無理だ、我慢出来ない」

「ふああぁぁんっ!!」

一気に埋め尽くされた熱に、全身が電気がはしったみたいにびりびりと震えた。

「や、もう、は!ひ、ああ」

怒張が襞を掻き分ける度に、意思に反して声が出てしまう。

「やだあ、は、この格好は、や、なの、はぁ!」

後ろからのし掛かられると、まるで獣扱いされているようで嫌なのに。

がつがつと犬宜しく犯してくる男に屈伏するしかない悔しさに歯を食いしばった。

ふいに、散々放置された飾りを親指と中指で揉み込まれ、頭の中が真っ白になる。

「っひゃああう!」

突然の刺激に耐えられなかった腰が砕け、上半身は情けなくベッドに這いつくばった。

「っ、は、少し感じ過ぎじゃないかなまえ」

「は、ああ、後ろ、はやめ…!」

動物の交尾の形に四肢をつきひたすらに耐える。

羞恥と性的快感の間で、無意識にエルヴィンから遠ざかろうとしてしまう。

「こら、逃げるな」

「っひう!!」

腰を引かれ奥まで穿たれ、中がびくびくと雌の悲鳴を上げた。

「っ…く、凄いな」

嘲笑混じりの声が耳に響く。
ぬるぬるとゆるやかに抽挿を繰り返しながら、分厚い掌が臍の下を撫でた。

「ふえ、やだ、ひんっ…あぅ」

「なまえ、」

背後をとっているのをいいことに好き放題背中に印を付けていた唇が、耳朶を甘噛みするのを合図に、その律動を早める。

「っひ?!や、ああ!!待って、はああ、ああう!」

奥の弱いところばかり執拗に擦るそれに、呼吸が追い付かない。

「ひ、いや、あぁっー!!」

「く…!」

一際大きく膨らんだ怒張を感じて、もう何度目かの絶頂に達した。

「あ、ン」

敏感になり過ぎた部分は、引き抜く時ですらびくりと跳ねた。

もうこのまま寝てしまいたいのに、エルヴィンは私の肩を抱き起こす。

「うぅ…ひど、後ろはやだって、言った、のに、うええ…」

「悪かったよ」

優しく抱き締め涙を拭えばちゃらになると思っているのだろうか。

幾ら上司とはいえ、今日くらい怒鳴っても罰は当たらないと思う。

しかし生憎そんな気力も誰かさんに全て奪われてしまった。

「…?!っ、え?!」

股の間に挿し込まれたそれを、重力に逆らえず飲み込んだまま、エルヴィンの太股の上に座ってしまう。

再び熱を持ったモノを、内臓が一人でに扱き始める。

「ふああ、や、なんでえ?ああん、」

「後ろからじゃなければいいんだろう」

「ちがあっ、きゃう!」

痛いくらいに張り詰めた胸の先端を軽く噛まれ、反射的にエルヴィンにしがみ付く。

「なまえ、可愛いよ」

その言葉は呪文のようで、私の神経を蝕んだ。











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