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 しずかのうみ*

「やっ…!え、エルっ…!!」

引きつった声で名を呼ぶなまえを、エルヴィンは穏やかに宥めた。

「大丈夫、大丈夫だ」

しかし彼女の不安は拭えない。
何故ならこの状況で、何処がどう大丈夫なのか彼女には理解できなかったからだ。

はだけたシャツ一枚以外何も纏わぬ彼女の身体はエルヴィンの脚の間にすっぽりと収まり、逃げ出そうにも胸の下で抱き留められかなわない。

男と女が互いに欲を求めるのは、至極真っ当なことである。
しかし今夜は侵入者が居たのだ。

「っ、こわ、い」

彼女が喉から思わず零した言葉に、脚の間に割って入る黒髪の男はその鋭い眼つきで怯える羊を睨んだ。

「怖くねぇよ、毎晩そいつとヤってることだろうが」

「はは、流石に私もそんなに若くはないさ」

「は、どうだかな」

侵入者を招き入れた男は、呑気にリヴァイと会話する。
異常な空間で交わされる普段通りの穏やかな語調に恐怖は増す。

リヴァイは震えるなまえに構わず膝頭を開き、花弁の中心に舌先を伸ばした。

「ひっ!」

生温い感触に小さく悲鳴を上げ、もがくなまえをエルヴィンは抱きすくめる。
下半身と上半身を男二人に拘束されては、抵抗の術もないのか、彼女は腰を抱き締める腕に力なく爪を立てた。

潔癖が周知の事実である彼が、自分の女でもない体を舐めている。
なまえは黒髪の隙間から覗く切れ長の瞳を信じられ無い思いで眺めた。

「や、は、あぅ…!へいちょ…」

ざらついた舌先が入り口に浅く滑り込み、まだ芯の無い蕾を小刻みに擽る。

外見に反し少々強引なエルヴィンにはされたことのない丁寧な愛撫に、彼女の目は恐怖以外の涙で滲む。

息が早く浅くなるなまえをエルヴィンは笑った。

「気持ち良いか?よかったな」

下腹を優しく撫で、首筋に鼻を寄せる仕草は、いつもの彼の癖だ。
平然としたエルヴィンの親のような穏やかな眼差しに彼女の思考回路は混乱する。

しかし未だ状況を把握出来ない理性とは対照的に、体は順応し始めていた。

「あぁ!」

「チッ、きついな」

予告なく指先を下腹に突き立てれば腰は大きく跳ねる。
唾液と少しの愛液で濡れたそこはまだ馴染み切らず、リヴァイの骨ばった中指をぎゅうぎゅう押し返した。

「ほらなまえ、力を抜いてあげなさい。君だって痛いのは嫌だろ?」

エルヴィンはそう宥め、控え目な乳房に手を伸ばし、先端を揉みほぐす。
彼女の弱点の一つであった。

なまえは身を捩り足掻くが、太腕を掻い潜れる訳もなく、鋭く甘い刺激に徐々に足の力が抜けて行く。
幾分もせぬ内、抽送は滑らかになった。
物欲しげに締め付けてくる膣壁がリヴァイの欲を静かに炙る。

「リヴァイ、指を増やしてやってくれ。この子はもっと欲しいみたいだ」

頭上からの愉快な声をリヴァイはゆっくりと見上げた。

しばしば青空に例えられるアイスブルーの眼は月光を受け、狂気に煌めく。

なまえは助けを求める眼差しをエルヴィンに送っているが、彼は黙殺していた。

いくら慣れたとはいえ、完全には解れきっていない所を掻き回せば痛みも刺激も強い。
それを知った上での発言に、苦々しく舌打つ。

「…悪い奴だなお前は」

「はは、お互い様だ。それに、好きな女の可愛らしい一面を見たいと思うのは極自然なことだろう?」

「…そーかよ」

この場で拒否しても、上司は何も咎めない。
代わりに自分がより乱暴に抱き笑って見せる。
そういう男だ、こいつは。

「っくぁあぅ!」

リヴァイは二本目の指を入り口に押し込んだ。
増えた質量に内壁はひくつき、震えている。
二本の指をばらばらに動かし、中を広げ溝を掻く。苦しげな呼吸の合間には媚びた声が漏れだした。

「や、は!あ、ぁあぅう!」

上司は快楽から逃げぬようなまえの細腰をがちりと押さえつけ喉を鳴らし愉悦している。

今の自分は彼以上に酷い顔をしていることだろう。
狼男の話を聞いたのはこいつからだったか。
月の光は人を狂わせる力があるという。
ならば、あてられているのだ。
己も、奴も、この青白い魔術に。

空想的な発想に自嘲し、彼は先程から腰の跳ねが大きくなる部分だけを重点的になぞる。
欲に溺れきっていない瞳はやめて、と叫んでいるが、最早誰もこの狂宴を止められはしない。

「んーっ!」

なまえは薄っすらと充血した瞳でエルヴィンを見つめるが、焦点は定まっていない。
浅い呼吸に上下する乳房が光にぼんやり照らされ艶めかしい。

「ふ、軽く達したか。堪え性が無いな、君は」

か細く震える臍の下を見、男は小さく吹き出した。
それは手を掛けた種が花を咲かすように、自分の物がしっかりと自分の手の中にある事を確信した笑みであった。

彼女から堪え性を無くしたのはお前だろうがと吐き捨ててやりたいのをこらえ、リヴァイはエルヴィンの腕からなまえを取り上げる。

骨を無くした彼女を俯し、支えた。

「兵士長殿は背後位がお好みか?」

「うるせぇよ」

愛撫でねっとりと濡れた陰部が絶頂の余韻で不規則に痙攣している。
リヴァイに背を向けていることで、必然的に頭はエルヴィンの腹部辺りにある。

彼は乱れた猫っ毛を手櫛で梳いてやり、頭部を股間に近づけた。

「いつもやっているみたいに…出来るね」

なまえは虚ろな眼差しで、緩く勃起した怒張を唇で食んだ。

「そう、いい子だ」

唾液をたっぷりと含ませた舌を先端から根元まで滑らせ、裏筋から陰嚢まで辿り、丁寧に奉仕する。

「…よく仕込まれてるこった」

半ば呆れた部下の感想に彼は満足気に微笑んだ。

「ああ、大切に育てたんだ。あまり酷くしてやらないでくれよ」

「お前も、な」

「くあぁ!」

潤みきった秘部はいきなり挿入された竿もくっぽりと飲み込む。
ぴちりと吸い付く襞にリヴァイは思わず息を吐いた。

「あ!はぁ!あ!」

律動に反射的に離してしまった口にエルヴィンはすかさず怒張を詰め直した。

「こら、ちゃんとしなさい」

「ン、!ん〜ッ!ふッ」

はち切れんばかりの怒張を食んだ唇の隙間からくぐもった喘ぎが溢れる。

三人分の淫靡な水音と荒い息はシーツに吸い込まれてゆく。

「ッ、なまえ…」

「ん!フーっ!」

リヴァイは先端を最奥に打ち付け、着実に上り詰める。
なまえはエルヴィンの言いつけを破れば後でもっと酷い仕打ちを受けるのを本能的に理解しているのか、腰が持っていかれそうになる律動にも、涙目で陰茎を離さぬよう食らいつく。

エルヴィンは征服欲で満たされる己を含み笑った。

「ひ、あーっ!」

一足先に達したなまえに続き、二人も彼女の体内に白濁を残す。
なまえは喉奥に射精された生温い精子を眉を歪めながらも飲み下した。

「よくできました」

嚥下する喉元を一瞥し、男は彼女の頭を撫でた。
肩を抱き起こし、反転させると、幼児に語るよう促す。

「ほら、リヴァイのもきれいにしてあげようね」

抵抗の気力も失ったのか、大人しく自分の愛液にまみれた怒張を咥え込み掃除するなまえをリヴァイは複雑な思いで眺めた。

「なまえ、まだ堪えられるな?」

事後の奉仕を終え、放心したようにベッドに横になっていたなまえは、その言葉に目を見開き激しく首を振る。

「そうか、」

「ぁあーっ!」

エルヴィンは一言返し、汗ばんだ彼女にのし掛かった。
弱々しく暴れる脚を容易く押さえ、一息に硬さを取り戻した怒張を突き刺す。

何度となく掻き回され、馴染まされたそれに、膣はすぐに懐柔され、リヴァイのものより一回り大きな熱を襞で扱き奥へと導く。

「やーっ!兵長、へいちょ、やぁ、助け…っはぁっ!」

「っはは!リヴァイ、なまえは随分とお前の事が気に入ったみたいだぞ」

明朗に笑う上司を無言で睨んでやるも、意に介さない事はわかりきっていた。
彼ほど特殊な性癖は無いが、分厚い胸板に押し潰される薄く白い胴を客観的に眺めるのはそう悪いものでは無いと思う自分が確かに居ることに薄ら笑う。

そんな部下の心境を知ってか、エルヴィンはなまえの耳元に笑いながら囁く。

「なぁなまえ、そんなに彼が好きなら明日からは三人にしようか?ずっと、ね」

「やっ、やだ!あ、ああぅ、は、ひ、ん!」

ひくつく子宮口を掘り、一つに溶け合いそうな程密着すれば、膣内の収縮は更に激しくなる。

ずるずると襞の溝の蜜を掻き出しながら、止めとばかりに鈴口を最深に捩り込んだ。

「っあーッ!!」

「っく、」

胎内に熱い粘液が張り付く感覚に目眩がした。

なまえのぐちゃぐちゃに崩壊した視界に自分を見据える明るい青と、そして反対に深く沈んだ漆黒の二対の瞳がやけに鮮明に焼きつく。

なまえは途切れ途切れの意識の中で、窓から溢れる月光にこの部屋のもの全てが溺れる夢を見た。





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