58.絡める
きしりとベッドが軋み、隣に大きな体温が寄り添った。
脇の下から滑る手が腰をとらえ、思わず身が強張る。
「エルヴィン」
見透かされたように背後からは喉で笑う声。
「何もしない」
軽く力のこもった手のひらからは、ゆっくりと熱が伝染し、密着した部分がじんわり温まってゆく。
無骨な手に自分のそれを重ねた。
「…うそつき」
悪戯っぽく笑って、指を絡ませれば、煽ったのは其方だと言わんばかりの強引な腕に抱きすくめられる。
逃げられない幸福に溺れ、はしたない私は下腹部を囲う指先に意識を集中させた。
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