「盗賊退治、と言われてもな……」


正直、やり遂げることができる自信はなかった。退治する盗賊たちについての情報は皆無だったし、僕に実戦経験などほとんどない。これらの要素から導き出せる結果予想は、僕の敗北。
やってみなければわからないという理論だってそこには確かに存在するのだが、僕は決して前向きじゃない。ともかく、この任務への自信はまるでないというのが実情だった。


「とはいえ任務は任務、か……」


授業や訓練と違い、与えられた任務はやらねばならない。特にフリップ殿の前であんなに偉そうなことを言ってしまった手前、絶対にやらなければ。


そうと決まれば、情報収集か。次やるべきはこれだと決めて、僕はとりあえず盗賊たちの情報を集めることにした。


道行く人に盗賊について尋ねながら街をまわる。盗賊については何故か頭の悪そうな話ばかり聞くのだが、これを退治するのだ、と自分に思い知らせるように聞いた。



一時間ほど経っただろうか。あらかた情報を得た僕は、とりあえず自分の部屋で休憩していた。


「(しかし奴らは本当に雑魚らしいな……)」


得た情報からそう判断した。盗む物と言えば店先の果物などを毎日少しずつ盗っていくだけで、おまけに怒鳴られればすぐ盗んだ物を置いて逃げるらしい。街の人からしても、迷惑なのだが騎士に言うには大袈裟すぎる、という所だった。
これなら、なんとかなる。幸いなことに、敵の中には外道の召喚士などもいないようだ。

昼食をとり、その後盗賊退治に乗り込むことを僕は決心した。面倒は早めに終わらせてしまう方が、後々楽になるだろうから。



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