洗車日和

恋路十六夜設定



「…オプティマス、随分汚れてきたね」


パトロールから帰ってきたオプティマスを見て、なまえはぽつりと呟いた。
対するオプティマスはきょとんとした顔をしている。


「そうだろうか…」
「うん、今日は泥道でも走ったの?」
「…ああ、そういえば」
「やっぱり」


思い出したように言うオプティマスが可愛くて、ついなまえは笑ってしまった。確か、ラチェットを洗ってあげようと思って買った洗車道具があったはず。


「…うん。オプティマス、天気もいいし洗車してあげる」
「しかし、大変ではないか?」
「大丈夫」


後ろを振り返ってラチェットを見る。
…若干ふてくされているように見えるのは気のせいかしら。


「ラチェット。ラチェットも洗車しよう」
「…は?わ、私も?」
「なんだかんだ言ってラチェットも汚れてるしね。ほら、来て」
「お、おい私は別に…」
「…オプティマス、ラチェットが逃げないように見ててね」
「わかった」
「!?」





ホースから水を出して、ビークルモードになった二人に掛けていくと、たちまち流れる水の色が茶色くなる。


「痛くない?」
「大丈夫だ」
「…何ともない」
「良かった」


洗車はあんまりしたことが無いから、不慣れなところがあったらごめんね。
なまえは水をかけながらそう言った。



オプティマスは、泡まみれになりながら一生懸命洗っているなまえに声をかけた。


「ふむ、洗車というものもいいものだな」
「本当?」
「ああ。天気もいいし気持ちがいい」


なんとなくリラックスしているようなオプティマスの声になまえはほっと安堵のため息をこぼした。


「これからは時々洗車しようね」
「他の奴らもやりたいと言い出すんじゃないか…?」
「それはそれでいいじゃない。子どもたちもいるし」
「まあお前がいいなら別に構わんが…」


雲1つない空を見上げる。
もう少しだけ、この平和が続くといい。いつも心も体も磨り減らしているみんなが、少しでも休めるように。


「痒いところとか、ある?」
「いや、ないよ」


その解答に、なまえは少し考え込んだ。そういえば、トランスフォーマーがくすぐったがるところ、見たことあったっけ。


「…オプティマス達がくすぐったいなーと思うところってどこなのかしら」
「…どうだろう」
「……」
「お、おい。いらんこと考えてないだろうな」
「…弱点を見つけたら、後でみんなに教えよっと」
「「!」」


なまえは、慌て出した二人にイタズラっぽい笑みを向けた。


「逃げちゃだめよ」
「ぐっ…」
「…頼むからほどほどにしてくれないだろうか」
「ふふふ、さあどうでしょう」
「お前今日は性格悪いぞ…」
「聞こえてるよー、もう…」


ぼそっと呟いたラチェットの車体をぺしりと軽く叩くと、なまえは微笑んだ。


「うそうそ、ちゃんと普通に綺麗にしてあげるから」
「本当だろうな…」
「ほんとよ」





「…平和だな」




誰にも聞こえないくらいに小さな声でぽつりと零したオプティマスのその言葉は、ひどく柔らかなものだった。







―――
甘成分が無い気がする…。勝手に恋路十六夜設定で書いてしまいましたので、苦情あれば受け付けますoyz


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