触れる
色々詰め込んでぱんぱんになったリュックを背負って小屋に駆け込んだ。
「クリストファー、ネコ缶とか色々持ってきたよ!」
「ああ、いつもありがとう。…何もされていないか?」
心配そうに触覚を動かしぺたりと体に触れてきたクリストファーに笑いかける。
「心配性だなーもう。大丈夫だよ、ほら」
「…そうか、よかった」
安堵したようにため息をついたクリストファーのその体にそっと抱きつくと、ヒヤリとした固い感触が伝わってきた。何度抱きついても不思議な感じだ。
「心配してくれてありがとう」
「そのくらい当たり前だろう」
そうやって、なんてことないように掛けてくれる言葉が嬉しい。
ゆるむ口元を隠さず、背伸びをしてその口に軽くキスをする。と、そこでいつもなら真っ先に駆け寄ってくるジュニアの姿が見当たらないことに気付いた。
「…あ、そういえばジュニアは?」
「廃材を探しに行っている。そろそろ戻ってくると思うが…」
そう言って、クリストファーが扉のほうに顔を向けたので、離れて扉から少し顔を出して外を見てみた。けれど、それらしき姿は見えない。
「まだ見えないね…」
「まあ、心配しなくてもそのうちひょっこり帰ってくる」
大丈夫だという風に触覚を動かしたクリストファーに、なまえはしばらく考え込んでから頷いた。確かに、治安が悪いとは言え、同族相手に悪さをするような輩はこの辺りにはいない。なら、と思ってクリストファーを見上げて笑った。
「じゃあ、ジュニアが帰ってくるまではクリストファーに構っててあげる」
「な、なんだそれは」
「だって会うの久しぶりだから。…充電」
微笑んで腕に抱きつくと、困ったような、照れたような顔でクリストファーは見下ろした。関節をなぞると居心地が悪そうにもぞりと身動きする。それがおかしくてまた笑うと、ぷにりと頬を摘ままれた。
「…柔らかいな」
「そりゃーお肉だもん」
「いや、その、そういうわけで言ったのでは…」
「わかってるよー。クリストファーは固いね」
「お前よりはな」
今でもたまに思う。こんなに違う二人なのに、いつの間にかお互い惹かれあっていたことは奇跡みたいだと。好きになった時は、どうしたらいいんだろうと悩みもした。
「…今日は泊まっていってもいい?」
「…」
問いかけてじっと見つめると、しばらくクリストファーは考え込んでいたが、最終的には観念したような表情をして頷いた。
「まあ、ジュニアも喜ぶしな」
「ほんとっ!?いいの?」
「ああ」
「やったー!」
万歳をしてぎゅっと抱きつくと、やんわり抱きしめ返してくれた。嬉しい。泊まれることも、抱きしめ返してくれることも。
「クリストファーも嬉しい?」
クリストファーは私の頭に自分の頭を乗せて、優しい声音で言った。
「…嬉しいよ」
−−−
クリス氏の性格とかなんやら、あやふやですみません…うろ覚えですorz
クリストファーの紳士っぽいようなヘタレっぽいような性格が出せれれば…ぐぬぬ