誘惑

「ああん閣下、今日も素敵なお腰ですね…!」
「…ええい!やめんかこの愚か者!抱きつくな!」
「ああっ!」
「変な声を出すな!」
「も、申し訳ございませんつい!」
「……」


メガトロンの呆れたような視線にも、当の本人は幸せそうな顔のまま。
この部下、非常に有能なのだが、いささか変態の気がある。とは言え、その矛先は大概メガトロンなのだが。


「か、閣下…そんなに見つめられては照れてしまいます」
「そうか。ならどこかに行け」
「ひどい!でもそんな閣下も好き!」
「おい、抱きつくなと…どこを触っているんだお前は!」
「閣下の臀部に」
「くっ…サウンドウェーブ!こいつを外に放り出せ!」


こくりと頷いたサウンドウェーブは、ケーブルをなまえに巻き付けるとそのまま外に連れ出そうとする。


「あ、や、やめてよサウンドウェーブ!閣下、いつも働かない軍医や裏切ってばっかりの参謀の代わりに仕事してる私に、たまにはご褒美くれたっていいじゃないですか…!」
『……』
「……」

その言葉には、サウンドウェーブもメガトロンも一瞬考え込むように動きを止めた。確かにあの馬鹿共に比べれば働きすぎと言えなくもない。


「…まあ、一理あるがな」
「うう、閣下ぁ…。せめて、セクハラはしないので抱き付かせてください。いやもう、頭撫でてくださるだけでもいいですから…」
「…」



ため息をついて目配せをしてきたメガトロンに、サウンドウェーブは再びこくりと頷いてなまえを離すと、すぐにその部屋を退出した。なんだかんだで、彼らはなまえに甘いのだ。



「わかったから、一度落ち着け」


優しく撫でるというよりは、わしわし、という音が似合いそうな撫で方だが、それでもなまえは満足したらしい。嬉しそうに目を伏せると、しばらくして頬を染めながら口を開いた。


「…閣下のそういうところが大好きです」
「…全く。お前ほど他意のないやつも珍しい。……自分の欲望に忠実過ぎるが」
「最後は聞かなかったことにします」
「都合のいいやつめ」


再びため息をついたメガトロンに、なまえは「ため息をつく閣下も素敵です」とウットリと呟いた。




「はあ…、閣下のお腰ってなんでこんなに色気があるのかしら。オールスパークも罪だわ…」
「……知るか……」


さりげなく腰やらなんやらを撫で回す手を叩きながら、メガトロンは今日三度目のため息をついたのだった。






ーーー
なんだかんだで好きにさせてくれる大帝。
最初はこれよりさらにひどいものができたので、自重しました…。


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