その言葉は、私に最も似合わない。









だめだ、話せない。そう判断した私は、つーちゃんたちに向けてちょっと苦い笑みを見せた。
つーちゃんは悲しそうな顔をして、すーちゃんとかっちゃんは眉間にしわを寄せた。


「・・・」


なにか重い空気が私たちの間を流れる。さて、どうしたものか。

「・・・ばん」

すーちゃんが私の名前を言い掛けたと同時に、パンパンと手がたたかれる音がした。



「こらー!!おまえら、久しぶりに子供の頃の友達に会えて嬉しいのはわかるが、再会話は後にしろー!
満月には時間がないんだ。すぐに神話科の先生が迎えに来る。
ほら、席に戻れって」

隣の直獅先生が先生らしく言葉を言って、つーちゃんたちを座らせた。
あ、フォローされたな。ものすごく困っていたから助かった。後でお礼言わなくちゃ。

教壇に立つ直獅先生は教室の中をぐるっと見回し、最後に私を見た。
必要なことしか言わないから安心しろよ
茶色の瞳がそう語りかけてきた気がして、私は小さく頷いた。


「いーか、おまえら、驚いて腰をぬかしたりするなよ。・・・満月はもともと、中学を卒業したらアメリカの大学院に進学する予定だった。
要するに飛び級だな。超、頭いいぞ。
だが、その話を蹴って、この学園の入学試験を受けた。
そのとき、・・・あー、理事長が冗談半分に全学科の試験を受けさせたんだ」



「物は試し」って、言うじゃない!
ねっ!やってみましょ、万里ちゃん!

琥春さんの笑顔に押し切られ、力試しとして受けた試験の結果が



「そしたら、全部満点を取ったんだよ、こいつは」



今の、この状況に繋がっている。



「教師[おれたち]どうしようかと話し合ったよ。この生徒の才能を潰さずに、三年間どんなカリキュラムを組むかって。
・・・そうして決まったのが、学園創設以来初めての『特科生』の導入。
英語や数学などの基礎科目を学ぶ必要が満月にはないから、その分、六学科の科目を好きなように選択させようって制度だ。
学籍は星詠み科におくが、実際、こいつは全学科に在籍してるようなもんなんだ」


天才だ。クラスの誰かがその言葉を落とした。
つーちゃんたちもひどく驚いた顔をしている。



・・・天つ才か。私、そんなの、持ってないよ。
私は心の中でこぼした。








天が落とした才能よりも
(あの人を救える力が欲しかった)
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