驚き、桃の木、山椒の木。
たくさんの男の子の中を一人、背筋を伸ばして歩く。なかなか勇気のいることだ。
集まる視線もものすごい量。正直、かなりキツい。もう一人の女の子、夜久 月子ちゃんもつらい思いをしてるだろうなぁ。
私は小さく息をはいて、指定された星詠み科新入生の座席に腰を下ろした。
「星詠み科ってことは、プリンセスちゃんには“視る力”があると」
手に持つメモ帳にサラサラっと書いていくのは桜士郎先輩。
私はその前で椅子に座っていた。
「はい、そうです」
「で、星月学園初の『特科生』でもあると」
「……!どうして、そのことを?」
星月学園のことで俺が知らない情報はないよ?誇らしげに桜士郎先輩は笑った。
けれど、私が『特科生』であることは先生たち以外は知らないはず。
ほかに知っている人がいるとすれば、それは、この学園を支える役を担う人だろう。
「いい情報源があるからね」
くひひ。桜士郎先輩は私の頭を撫でながら言った。
それでは、生徒会長から新入生への挨拶です。
進行役の先生の言葉に促されて、壇上を見上げる。
そこには、朝、迷子になっていた私を助けてくれた不知火 一樹先輩が立っていた。
ぽっかーん。後に一樹先輩はその時の私の表情をそう表現した。
「コホン!えぇ〜、ただいまご紹介に預かりました。…なんて、まどろっこしい挨拶は抜きだ!俺は星月学園の生徒会長の不知火 一樹。つまり、俺がここの支配者ってわけだ。
俺が白と言えばカラスも白!この学園では俺がルールだ!」
なんという横暴。これでは歓迎されているというよりも脅されているという感じがする。
けれど、一樹先輩にどこか、カリスマ性のようなものを感じた。
人の上に立つには
(たくさんの人の中でも目立つ、光が必要)