あぁ、やってしまった…。私の頭は鋼鉄並みなのに。
「おい、大丈夫か?そこの女子」
「…ふぁい、大丈夫です。…すみません、前、見てなくて。…あご、痛かったですよね?」
半泣きに近い表情をしながら、両手で頭を押さえた。
私はかなりの石頭だ。家でも、おふざけで年下の子ども達に頭突きをしたら、泣かせてしまったほどだ。
その頭が直撃したんだ。かなり痛かったと思う。
ちらりと前に立つ上級生のあごを見てみると、やはり赤くなっていた。
あまりにも痛そうなので、背伸びして上級生のあごを触ってみた。っおまえ、ちょっと待て!少し慌てる上級生の声を聞き流す。
「…あ、よかった。赤くなってるだけで腫れてるわけじゃない」
安心して笑うと弧を描いた私の目から涙が流れた。
先程、半泣きになった時、目頭にたまったものだろう。
私が泣くのを見たら、上級生はなぜか痛みに耐えるような顔をした。
「えっ!?やっぱり痛いですか!?」
「あー、違う違う。こんなの、別に痛くもかゆくもない」
それどころか、おまえのほうが痛そうな顔をしてるぞ。
そう言って、上級生は苦笑しながら大きな手で私の頬に残っていた涙をぬぐってくれた。
無意識に手が動いた
(彼女の頬を流れたのは涙ではなく、きっと流れ星)