出逢いました。
自己紹介しました。
そして、…助けてもらいました。



ぷらぷらふらり。すらりとくるり。
私はたくさんいる男子生徒たちの間をすり抜けるように歩いていた。
やっぱり、女子がいるのはそんなに珍しいのか、どの男の子も私が通るとものすっごい驚いた顔をしている。


軽い珍獣物扱いだなぁ。


好奇の目はあまり好きじゃない。私は人目を避けるために、校舎の裏に足を進めた。



「…ふぇ?っわ」



前をろくに見ないで歩いたせいか、誰かとぶつかった。そのまま、反動で芝生の上に尻餅。



「…悪い、平気か?」



かけられた声に顔を上げると、金色の髪の男の子が私に手をさしだしていた。
ネクタイの色は赤。私と同じ1年生。


「ううん、私こそごめんね。前見て歩いてなかったから」


引っ張ってもらい、立ち上がってスカートをたたく。うん、どこもケガしてない。



「…1年だよな。…名前は?」
「万里、満月 万里っていうの。貴方は?」
「神楽坂 四季」
「神楽坂くんかぁ。…これからよろしく…、って、わぁ!」



よろしくと頭を下げようとしたら、神楽坂くんに手を引っ張られた。私は神楽坂くんの腕の中にダイブ。


その直後、さっきまで私が立っていた場所に植木鉢が落ちてきた。



ガシャンと鳴って割れたのは陶器の植木鉢だったけど、当たっていたら私の頭蓋骨も一緒に割れていた。



わるーい!手が滑っちまったぁ!当たってないかー!?



上から上級生が叫んでる。



大丈夫。そう応える神楽坂くんの低い声を、私は彼の胸に耳をつけて聞いていた。





偶然では片付かない
(知っていたから、わざと当たった)
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