*学園組の一日

「良い天気だな、実にロケット日和!」
「ああ、今日こそは飛ばすぞ、アモー!」

素晴らしく晴れやかな秋の或る一日。どこまでも高く、果てのないような青空を仰ぎながら、学園の屋上、ロケット部の中心となっている二人が居た。言わずもがな、アモーとボリスビッチである。
二人揃ってこの秋空に負けないくらいの爽やか(?)な雰囲気を纏ってはいるが、彼らの眼中にあるのはただひとつ、自分たちのロケットだけだった。今日こそは、とは毎度言ってはいるが、未だマトモに飛行した作品は無い。それでもめげずに日夜活動に勤しむ彼らは、まさに青春真っ只中、と言った様子だった。―情熱を傾ける先が少しばかりずれているような気がしないでもないが。

「ともかく、言うより先に動かねば」
「ああ、そうだな。ところでハラショー、手頃な被検体は見付かったのか?」
「それならもう準備が出来ているぞ、ほれ」

ボリスビッチが指差す先には、ロケット部渾身の一作『111+1号』があり、そしてさらにその先端には、何やらジタバタともがく人影があった。

\話せば分かる、俺が悪かった!/

離してくれえええ、頼むからあ!という悲痛な叫び声もこだましているが、誰一人としてロケットの先端に括り付けられた人物を助けようとはしない。傭兵とは非情なものなのだ。

「あれは誰だ?」
「アンシールが自分からやると言ってくれたのでな、早速」
「そうか、殊勝な心掛けだな」

どう取っても自分からやるなどと言ったようには見えない哀れな被検体は尚も甲斐なくジタバタし続け、だがしかし寸でのところで電気系統に謎のトラブルが起きた事で無事に解放されたのだった。

「何が悪かったのか…」
「むっ、この弾痕…メアリー先生か」
「なるほど、かわいい生徒を助けに来たのか」
「まあいい、これをこうして、…よし、いつでも発射可能だ!」
「さすがだなハラショー」
「我輩に掛かれば軽いものだ!よし、気を取り直して実験を続けるとしようではないか!」

勢いが良く、真っ直ぐでめげないのがロケット部の良いところであり、また欠点でもあるのだが、彼等はそのことに気付いていない。犠牲者は増えるばかりである。

( 0917 )
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