*古王と首輪付きなかよし
*FF見ながら会話
*FFと言ったらフォーミュラなフロントですよ


「おう、昼飯にするぞ、首輪付きィ」

埃臭く、乱雑に物の積み上げられたブリーフィング兼リビングルームに、いつもの調子のオールドキングの声が響いた。

「キング。…もうそんな時間ですか?」

ぼんやりと発光するモニタの前に座っていた痩身の少年が振り返り、壁に掛けられた時計を見る。

――少年が眺めていたモニタには、或る時代に撮られたと言われるACを用いた競技大会の記録映像が、観客の歓声と熱の入ったナレーションを纏って、静かに流れていた。
青い四脚のACが構えたスナイパーライフルの弾が乾いた空気を切り裂く。赤い軽二のACがブーストを噴かしてそれを回避。ミサイルを撃ち込みつつ遮蔽物を利用しながら接近、肉薄した青いACに両腕のマシンガンを至近距離で叩き込む。接近戦用の装備を積んでおらず、且つ反応の遅れた青いACは為す術なくフルヒットを喰らってしまう。

「引き撃ちはどうしても、だなァ」

少年が掛けた椅子に凭れながら、オールドキングが楽しそうな様子で野次を飛ばす。

「青いACのチームは遠距離戦が得意なんです。得意な遠距離では無敵に近い戦績なんですが、近付かれると…」

少年がチームの説明をしている間にも、会場の興奮は高まっていく。

『グリッド・ワンに大ダメージ!グリッド・ツー、まさに圧倒的!』ナレーターの興奮した声と観客の歓声を背に、赤いACが青いACの背後に回り込む。刹那にクリアブルーの"眼"が瞬き、『グリッド・ツー、左腕武装を解除!格納武装に切り替え――』ナレーターが言うか言わずかという瞬間、赤いACの左腕が前面―青いACのコア背部に深々と突き刺さった。『――っグリッド・ツーの射突型ブレードがグリッド・ワンにクリーンヒットォ!!グリッド・ワン、戦闘不能!グリッド・ツーの勝利です!』―瞬間、割れんばかりの歓声。
そうして、観客と同じく試合に見入っていた少年から溜息が漏れる。

「…凄いですね。」
「まァ、昔の人間は今の奴らよりはマトモだったって事だなァ」
「…どういう意味、ですか…?」
「さァてな――ま、そろそろ飯にしようや」

髪と同じモスグリーンの眼がゆったり細められる。紫煙を細く吐き出して、オールドキングは楽しそうに笑った。

「そう言えば、そんな話でしたね。」

申し訳無さそうに薄く笑むと、少年はモニタを切り立ち上がる。

「さて、何にする」
「えと、…キングと同じでいいです」
「またか。…分かったよ」

少年の柔らかい黒髪を、無骨な、節くれだった大きな手が掻き回す。
その感触を噛み締めるように目を瞑り、少年が息を吐く。

「キング、…変な話かも知れません、けど、俺、こういうの、なんて言うのか、…きっと幸せです」
「…嬉しいじゃねェか、そりゃあ――」

恥ずかしそうに、けれど本当に嬉しそうに、こちらを見上げて笑う少年を見下ろして、モスグリーンの目も緩やかに笑んだようだった。

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