05


さとみ視点


宴会後、蘭丸さんに部屋まで送って貰い、気を失う様に眠りについた。鳥の鳴く声と日の光で目を覚ます。思いっきり背伸びをするとパキパキと音が鳴った。

"みむさんの部屋に行かなきゃ"と思い、昨日貰った着物を何とか自分で着終えた時、外から声がかかった。

「さとみさん、起きてますか?失礼します」

顔を出したのは蘭丸さんだった。

「おはようございます、今日はお城を案内するように言われましたので、一緒に来てください」

「え・・・あ、はい・・・」

言われるがまま、お城を案内される。あまりにも広くてとてもじゃないが1日では覚えられそうに無かった。

お昼を過ぎた頃、"少し休憩しましょうか"と言ってくれた蘭丸さんに彼女の事を聞いてみた。

「あの・・・みむさんて、どういうお方なんですか?」

「姫様はとてもお優しい方です。分け隔てなく接して下さり、時には叱ってくださる。明るくて、お茶目な方です。」

キラキラした笑顔で話してくれる蘭丸さんを見ると、本当に慕っているのだということが分かる。私の第一印象そのまんまの人なのだと、ほっと胸をなで下ろす。

「ただ・・・あのお方の怖いところは・・・」

「え・・・?」

急に真剣な顔で私に少し近づき小声になった蘭丸さんに私も耳を近づける。

「信長様に手を出す女性には、手段を選ばない。」

「え・・・・・・?」

「信長様はいずれ天下を取られるお方。今まで何人もの女性がお近づきになろうと必死でしたが、みむ様とお話になられた後、皆必ず姿を消します。」

あのふわふわとした可愛らしい見た目からは想像も出来ない話に唖然とする私。そんな私を見て蘭丸さんは人差し指を口元に当てて笑う。

「このお話は内緒ですよ。」

そんな事をするような人には見えなかった私にはかなりの衝撃だった。あの可愛らしい人がそんな事をするのだろうか、人は見た目には分からないという事なのだろうか。それに加えてふと、疑問になる。彼女と信長さんはどういう間柄なのかと。親しい間柄には違いないのだろうけれど。


「あの・・・信長さんとみむさんって一体どういう・・・ご関係なんでしょうか」

「え?!ご存知無かったんですか?姫様は信長様のご正室・・・つまり奥方様ですよ!」


仲が良いとは思っていたが、まさかあの怖い信長さんの奥さんだとは思わず、ええ?!と大きな声を出してしまう。歳も私と変わらないと思っていたのに、この世界の子は早めに結婚するのだろうか。

"さて、そろそろ行きましょうか"と声をかけられ、再び歩き出す。

午後も城内を案内してもらったが、先程の話が頭をぐるぐる回るし城は広いし、やっぱり今日1日ではどうしても覚えきらず、明日もう一度教えてもらうことにしたのだった。




 
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