ダンデライオン
少し風の強く、桜の花弁も散り散りに、葉緑色の葉を揺らし、空は晴天。春麗、と言うべき日和。
「おー、キョウヤがいっぱいー」
ルンルンと、その道をスキップし、野原に目を凝らせば、塑琉奈はまたその一言を漏らす
俺はその後ろを渋々付いて行きながら
時たま聞こえる一言に眉をひそめた
「…どうゆうことだ?」
「はへ?何がー?」
とぼけてるのか、または素なのか野原に座り込み、ニヨニヨと俺を見上げる塑琉奈
「……ふん…っ」
憎めない笑みを向けられ、俺は少し喉を鳴らして、隣に腰を下ろせば、塑琉奈はそれを見計らってプツン、とタンポポを一つ摘まむ
「ほら、これがキョウヤ!」
「っ…て、タンポポじゃねぇか…」
俺にタンポポを差し出し、そう言って笑う塑琉奈に訳がわからず、ポカンとしていれば、塑琉奈はもう1つの種の束になったタンポポに息を吹き掛ける
「タンポポって、英語で"ダンデライオン"って言うんだよ」
『だからキョウヤがいっぱい!』っと、ところかしこにあるタンポポを指差し、吹き掛けるの動作を繰り返す
俺は塑琉奈の言葉を理解して、プツンと塑琉奈と同じようにタンポポを摘まみ、優しく吹き掛ける
「成る程…な」
「キョウヤは存在感を持った旅人、まさにタンポポだね」
「塑琉奈にしちゃ、良いこと言うじゃねぇか」
存在感の持った旅人か……
タンポポって言われるのも悪くねぇな…
ダンデライオン
春に天指す黄色く輝く俺の花
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