盾神短編 | ナノ


脳内レイプ

脳内レイプが続くキュンキュン


「あれれ?おかしいな、このドキドキはー…」


ふと耳を澄ませば、なんと可愛らしい歌声が近くで聞こえた


「…もっと、ぎゅっと、ずっとしててー」


俺は声の元を辿りながら足を進めると、人影がひとつ。俺はその人を見て、思わず頬が緩んだ


「すきすきすKISS、すきすきすKISS、すきすきすKISS…」

「塑琉奈」


俺はゆっくり後ろからそいつに話し掛けれ、塑琉奈は一瞬にしてガチッと体を固まらせた


「なっ……なんだよ…」

「そんな強ばんなよ」

「…いつからいた?」


さっきの可愛らしい声とは裏腹、地声よりも低く、返事をする塑琉奈。なんだかそれが逆に可愛くて
、俺は未だに頬を緩ませたまま答える。


「…歌い出しからだな」

「そうか、さようなら」

「ちょっと待て!」


俺が答えると塑琉奈は心底嫌だったのか、何処から持ってきたか判らない、輪にしてある縄を首に掛けようとする。

俺はそれを見て必死に呼び止めた


「もう駄目、今日俺の命日だわ…あんな声聞かれるとかマジ嘔吐もんだわーうぇっうぇっ…」

「落ち着けよ」

「絶対キョウヤ、この音痴な俺の歌聞いたから今夜爆発死するよー、この前それで友達一人死んだわ」

「……おい」


どうやら完全に気持ちはブルー。全く俺の声は耳に届いてない。仕方ないので俺の方に向かせることにした


「なんだよ…」

「さっきの、もう一回聞きてぇ」

「ふざっけんな。もう一生歌わねぇかんな…!」


苦笑いしながらそう言う塑琉奈は体育座りして膝に顔を埋める。

俺は少し顔をしかめたけどさっきの歌声を思い出して、また頬を緩ませた


「塑琉奈」

「…………」


名前を呼んでも返事はこなく、塑琉奈は顔を埋めたまま。ニヤニヤだらしなく笑うのを我慢して、俺は塑琉奈の耳元に囁いてやった


「…〜っ!!!?」


すると塑琉奈は顔を真っ赤にして俺を睨み付ける


あっ、ちくしょう…そんな顔で見んなよ
可愛くて笑っちまうじゃねぇか…


結局そのあと俺は笑ってしまって…。塑琉奈を怒らせて、その歌声を聞けずじまいになってしまった


『その声で脳内レイプさせて』



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