盾神短編 | ナノ


当たり前のこと

いつもなら家でアニメばっか見ている筈の塑琉奈が、夕方になっても戻ってこないので、俺は仕方なく探しに出ることにした


「(確か、川岸に行くって言ってたよな…)」


俺は塑琉奈が行ったであろう川岸に足を進める。
川と橋が見えると空が橙色に染まり、太陽が堕ちてゆくのか見える

その側の川岸に塑琉奈が1人でなんか体を動かしてるのが見えた


「あのバカ……」


俺は見るに耐えなくてため息を付きながら、塑琉奈の元に行くことにした


「かーめーはーめ…波ー!!!!!!」


一方、キョウヤが近付いてくるのに気付いていない#塑琉奈は、全力でかめはめ波の練習をしていた

時を遡れば約三時間前


『なんであいつら、ベイで必殺技できんだろ…』


………………


『よぉおし!俺だって必殺技編み出してやんよぉお!』


とゆうことで現在に至る。


「かぁーめぇーはぁーめぇー…波ぁあああ!!!!」


ポーズも勿論ちゃんとして気合いを入れて声を上げる塑琉奈。


「なーんか、いまいちだな……」

「何やってんだよ」

「え?必殺技の練習……ってぎゃあああぁああ!!!!?」


納得出来なくて頭掻いている塑琉奈に声が聞こえ
、振り返ればキョウヤの姿に塑琉奈は絶叫した


「なななっ、なんでここにいるんだよ!!!?」

「お前が帰んの遅せぇからだろ」

「え?あれ?」


キョウヤに言われてやっと空を見上げれば、もう少しで夕陽が沈むだろう時間に差し掛かっていて


「ああ!!ホントだ!!
もうあんなんになっとる!!」

「今頃気付いたのかよ…」


やっとの状況に慌てる塑琉奈を見て、またキョウヤはため息を付く


「で、何やってたら
こんな時間になったんだよ?」

「べっ、別に必殺技が欲しいから、全力でかめはめ波の練習とかしてたわけじゃねえし!!」

「お前バカだろ…」


塑琉奈の言い分に呆れて怒る気にもなれないキョウヤ


「必殺技とか必要ねぇだろ」

「え?そんなことないよ!必殺技持てば、キョウヤに守ってくれなくて済むし」

「お前、わかってねぇな…」

「ぬん?」


キョウヤは塑琉奈の言葉を聞いて、ゆっくりと塑琉奈の手を引き腕の中に手繰り寄せる


「俺が好きで塑琉奈守ってんだよ」


耳元で囁いて見れば、真っ赤に茹で上がる塑琉奈の顔


「おまっ…よくそんな…」

「だから安心しろ」


照れて上手く喋れない塑琉奈を俺の胸に埋めさせれば、それに従い、顔をそれで隠す塑琉奈


「ほら行くぞ」


腕を解き、塑琉奈を引っ張り歩み出せば
塑琉奈はまだ顔が赤いまま照れ臭そうに笑った


「…ありがと」

「当たり前だろが」


気が付けば夕陽が沈んでいて、雲もなくなっていて


「俺…幸福者だなー」

「…バーカ」


俺の体温と塑琉奈の体温が
手から交じり合い、伝わってゆく

俺はそれを更に噛み締めたくて
また塑琉奈の手を強く握ってやる


「うっへへへへー!!」


すると後ろから聞こえた塑琉奈の間抜けな声に
思わず俺も頬が緩んでしまった



好きな奴を守るのは当たり前だろ?



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