小説 | ナノ
頭脳プレー


カチャカチャ、ギャオー、シャキン
さっきから流れる怒号と
物騒な刃の擦れる音。

そしてそれに負けじと
指に動かされ聞こえるボタン音


「っ、んー…」

「………。」


樟葉は隣にいる俺そっちのけで
ゲームに夢中。

さっきチラリと画面覗いたけど
まあ激しいもんで、でかいモンスターをメッタ斬りしては避けて、の感じ


「……」

「……なあ、それ楽しい?」

「うん」

「樟葉はそれどこまで進めてんの?」

「うん」

「………」


試しに声掛けてみるが
樟葉は俺に顔を向けないで
たった二言だけの返事。

次に問い掛けても同じ返事で
「全然聞いてねぇな…」っと
思わず俺は苦笑いを溢した


「…なあ樟葉」

「うん」

「俺のこと好き?」

「うん。……えっ」


三和の言葉に適当な相槌を打った後
天地はハッと気が付いて
三和の方を勢い良く振り向くが
そこにはニヤニヤ笑っている三和の顔が。


「まっ、待て…!
今の無し、取り消し!」

「男に二言はねーぞ?樟葉ー」

「だから聞けって……っあー!!!
お前のせいで三落ちしたじゃねぇか!!」

「御愁傷様」



慌てて訂正しようと口を開くも
三和は聞かずのニヤケ顔。

それに気を取られて、次にゲーム画面を見た時には『クエスト失敗しました』の文字に天地は頭抱えた



「でさ、樟葉」

「…なんだよ」

「さっきのやつ訂正する?」


ゲームを片手に不機嫌丸出しの天地に
三和の笑みは消えず、ズイッと天地の顔を覗き込み問い掛ける

すると、途端に天地は口ごもった


「…ーっ」

「どうする?」

「…お前に任せる」


徐々に顔を淡く赤に染める天地に
三和は含み笑いしながら
ずっと天地から目を離さない

そして少しの間から出た天地の言葉に
待ってました、と言わんばかりに
三和の表情は一気に華やかになる


「俺も!樟葉のこと好きだぜ!」

「っ判ってるから離れろ!気持ち悪い!」

「その顔じゃ説得力ねーって」



普段の樟葉は全く素直じゃないから
たまにはこうでもしねぇと
「好き」って言ってくれないだろ?

だから怒らないでな?





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