今日は夕方から雨らしい。

現に夕飯を食べて、部屋に戻ればポツポツと窓を打つ雨音が聞こえ始めた

少しそれを不安げに窓を見つめてたが、もうすぐ学年末考査だと
自分に言い聞かせて、机に向かい一息つく



「大丈夫だ…大丈夫
あいつは子供じゃないんだから…」



あいつ、というのは
幼なじみ、塑琉奈のこと

俺と塑琉奈の家は昔から隣同士で
今では両家族とも隣人付き合い以上
それもあってか、
俺は塑琉奈といるのが当たり前だった。
…そこから、俺は塑琉奈に恋心を抱いたんだ


小学生、中学生、高校生…
別の学校だったにしろ
隣人なので会うことは毎日。

他愛のない学校話や
自分に起きた出来事をお互いに伝えて
日に日に綺麗に輝いても尚
昔と全然変わらない塑琉奈に
俺のその気持ちが増した矢先だ





『こうちゃん、俺ね…
彼氏出来たんだ!』

『……え…っ』





ちょうどこの日の1ヶ月前だ
そう塑琉奈が俺に伝えてきたのは

どうやら一つ下の後輩に告白されたらしい。実は塑琉奈もその後輩を気にしていたことも俺はそこで知った。



なんて…、悔しいものだろうか



俺がずっとずっと塑琉奈のことを好きでいたのに、ソイツはそんなのお構い無しにあっさり塑琉奈を持っていく

こんなことになるなら
一緒の高校に行けば良かった

こんなことになるなら
何故俺は言わなかったんだ

そんな後悔と喪失感を
何度味わったことだろう。

そうしてる内に今日になって
『1ヶ月記念なんだ!』っと
お洒落して出掛けた塑琉奈を

俺は気持ちを押し殺して
遠ざかる塑琉奈の背を見送った









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